2016年[ 技術交流助成 (日本招聘) ] 成果報告 : 年報第30号

平成27年度技術交流助成成果報告(日本招聘)・安藤 正海

研究責任者

安藤 正海

所属:東京理科大学 総合研究院 教授

概要

1)はじめに(招聘の概要)

2005 年に安藤(招聘者)が東アジアにおける放射光生物学医学画像研究のポテンシャルを上げること、交流を盛んにすることを目的に旧知の韓国銭相勲教授、金鍾基教授、中国姜暁明教授、黎剛副教授に声をかけて会議が始まった。会議名称は放射光医学生物学画像研究会とし日本側からは安藤の他兵藤一行当時講師、現在准教授も加わった。地域間の距離が近いので毎年開催とした。毎年持ち回りの慣例にしたがい、今年のホスト役の日本としては上記 4 人を招待した。特に銭、金教授および黎副教授には会議に置ける活躍を期待して本財団の資金を利用して招待した。

 

2)被招聘者の紹介

銭相勲教授:ソウル国立大学医学部ブンダン病院副院長、胸部外科主任教授。医療技術の海外展開に豊富な経験を有する。

金鍾基教授:デグカソリック大学医学部教授。PhD 博士号。物理学専攻を背景に診断技術、医療技術における幅広い深い洞察力がある。

黎剛副教授:北京高能物理学研究所放射光研究施設副教授。放射光の医学利用のみならず古生物化石の放射光による描画にも造詣が深い。最近は新型 X 線カメラを開発中である。

 

3)会議または集会の概要

山形大学医学部において第 10 回会議(AMSI2015)を開催した。出席者数は韓国 22 名、中国 3 名、

米国 1 名、日本 10 名、合計 36 名であった。今回は従来の放射光画像応用に限らず、放射光利用による

治療計画にも活動の幅を広げる試みを行なった。発表件数は口頭発表が 16 件、ポスター発表が 5 件であった。

 

4)会議の研究テーマとその討論内容

放射光利用医用画像研究:

◎(1)大会参加者向けには(1−A)新線源、(1−B)CT 画像からスタートして計算機による内視鏡技術、

(1−C)新 X 線カメラ技術紹介、(1-D) 新画像技術紹介

◎(2)山形大学医学部および関連病院向けにサテライト会議として(2-A)銭教授によるソウル国立大学において実践されている計算機使用の最新胸部外科手術の概要、(2-B)米国ハーバード大学

MGH(マサチューセッツ総合病院)グプタ(GUPTA Rajiv)准教授による放射光利用医用画像紹介、

(2-C)安藤による放射光紹介と医用画像紹介

◎  放射光利用医用治療研究:今回会議から始まった治療への応用紹介

 

5)招聘した成果

銭教授にはサテライト会議のセットアップから講演までをお願いしたところ快諾を得た。これにより山形大学医学部胸部外科を中心に放射光利用に対して多大な関心をもってもらうことができた。開催地における放射光利用医用画像に関する交流が深まった。会議出席者間の交流もより深まった。被招聘者

3 人に姜教授、兵藤准教授および安藤を交えた会議を開催し(写真参照)医用画像のより深い進展を目指して日中韓が共同で各国の文科省へ働きかけを行ない国際共同研究を確立することで話し合いがまとまった。

 

6)その他

◎  金教授は AMSI2015 開催後 2 月 25 日に前橋にある群馬大学医学部重粒子線医学研究センターにおいて同物理学部門鳥越正己教授、金井達明特任教授、医学生物学部門高橋昭久教授、吉田由香里助教、工学部櫻井浩教授に対してクーロムナノ照射治療に関する講演を行なった。その上で浸潤性悪性腫瘍、転移性癌など相互に興味ある重粒子利用の癌対策があるにちがいなく共同研究を推進する旨の提案を 行なった。共同利用施設を動物実験に使えるかなどの問題点が指摘され具体的な議論は後日となった。

(写真は割愛)