2014年[ 科学教育振興助成 ] 成果報告
宇宙エレベーターロボットで宇宙をめざそう!(初年度報告)
概要
1.はじめに
競技会は2010年頃から各学校や横浜市こども宇宙科学館(現在はまぎん子ども宇宙科学館と名称変更)で実施していた宇宙エレベーターロボット講座を競技会形式にし、子どもたちが製作したロボットを持ち寄りながら発表し、交流し、競い合おうというものである。2013年11月23日に東京都北区にある聖学院高等学校を会場とし、第1回宇宙エレベーターロボット競技会を行い、今回で2回目となった。第2回目を実施するにあたって、宇宙エレベーターの魅力を全国の子どもたちに伝え、競技会にはできるだけ多くの子どもたちに参加してほしいということで、30チーム以上の応募と150名以上の参加という目標を立てた。
まずは競技会のことを全国の教師や子どもたちに知ってもらうことが重要であり、競技会の他に以下の活動を実施した。
(1)指導者向けの講習会と子どもたち向けの講習会を分けて実施し、宇宙エレベータロボットの面白さを伝えるとともに競技会に興味を持ってもらう。
(2)Webページを開設し、競技会に関する情報を掲載するとともに問い合わせに迅速に答え、参加者を募る。
(3)神奈川大学附属中高等学校の学園祭で、120m上空まで昇降できる宇宙エレベータロボットを製作し、実験を繰返しながら問題点等を検証する。
2.活動内容
具体的には、以下の講習会等を実施した。
6月15日(日)レゴ本社(東京)
学校教師・指導者向け 宇宙エレベーターロボット教室 31名
6月29日(日)はまぎん こども宇宙科学館(神奈川)
小 中高校生 向け宇宙エレベーターロボット教室 25名
7月21日(月)パシフィコ横浜(神奈川)
小学生対象 生宙エレベーターロボット教室 70名
7月30日(水)神奈川大学 KU ポートスクエア(神奈川)
学校教師・指導者向け 宇宙エレベーターロボット教室 35名
9月27日(土)神奈川大学附属中高学園祭(神奈川)
小学生向け 宇宙エレベーターロボット教室 65名
宇宙エレベータロボット120mの挑戦 約200名
11月23日(日)神奈川大学附属中高等学校(神奈川)
第2回宇宙エレベーターロボット競技会 約500名
これまで子ども向けの宇宙エレベータロボット教室は何度も実施して来たが、指導者向け講習会は、今回が初めてであった。開催案内はWebページとメールや口コミが中心であるため、参加者が集まるか懸念されたが、毎回30名程度の参加があった。内訳としては、中学や高等学校教員で中心であったが、ロボット教室講師や文部科学省調査官の参加もあった。ロボットやプログラムの授業としての導入や部活動での取組み、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)実施校として研究テーマの採択検討など、様々な取組みを検討されていた。新潟や京都など遠方からの参加もあった。
3.第2回宇宙エレベーターロボット競技会
2014年11月23日に神奈川大学附属中・高等学校で、全国各地から33チーム150名を超える子どもたちが集まり、第2回宇宙エレベーターロボット競技会が開催された。
競技会では、午前中に宇宙エレベーター研究者である青木義男氏の講演が行われ、現在進んでいる宇宙エレベーター開発や実験についての詳し説明があり、参加している子どもたちや保護者は夢中になって話しに聞き入っていた。
4.競技の概要
昼食のあと、午後はいよいよ体育館で競技会が行われた。今年のレギュレーションは、バスケットゴールからテザーを降ろし、地上6mにドーナッツ状の宇宙ステーションをつり下げて、そのステーションに向けて地上から昇降ロボットを使って人間の代わりにミニフィグを運ぶという競技である。制限時間は4分で、ミニフィグ20体を運びきった場合は、タイムトライアルとなる。
体育館のコース脇には、チーム毎に長机を置き、昇降ロボットの最終チェックやトラブル対応などの調整作業を行う場所を設置した。33チームの昇降ロボットは、同じ形のものは一つもなかった。見本もなければ、設計図もない中で、子どもたちは自分たちのロボットを設計し、この日のために日夜がんばって製作してきた。
5.競技会
競技会では、コースを4カ所設置し、4チームが同時にスタートできるようにした。宇宙ステーションには、カメラを設置し、上から証拠ロボットが近づいてくる様子を大型スクリーンで映し出しながら、臨場感のある演出も行った。昇降ロボットが上がり、無事にミニフィグを宇宙ステーションに下ろして、下に戻ってくるたびに大きな歓声と拍手が起こっていた。中には上には上がったがセンサーが反応せず下に降りてこないチームや、1体のミニフィグもあげられないチームもある。しかし、20体のミニフィグ全てをステーションに運びきったチームは33チーム中11チームもあった。
そして、すべてのチームの競技が終わって結果を見たところ、1位は1分1秒ですべてのミッションを終えていた。これは予想以上にすばらしい結果であり、各チームのレベルがかなり高いところまで来ている事もよくわかった。1位と2位は高校生であったが、3位には小学生チームが入ったことは大変喜ばしいことであった。
6.ポスターセッション
競技会のあと、各チームがそれぞれ昇降ロボットの開発経緯やコンセプトを発表するポスターセッションを行った。「ぜひ説明を聞いてください」と積極的に声をかけてくるチームもあり、どのような工夫をしたか、またどんな問題が見つかり、それをどう克服したかなどを写真やイラスト、そして昇降ロボットを交えながら熱心に説明していた。
競技会で競い合った子どもたちが昇降ロボットの機構のしくみや作り方、プログラムについてお互いに讃えながら意見交換をしている様子は、私たちが狙っていた恊働学習、交流学習の成果であった。
7.まとめ
宇宙エレベーターは日本がリードする宇宙開発の夢の乗り物である。その宇宙エレベーターは、楽しみながらロボットの構造やセンサープログラミングを学べる格好の教材である。何より宇宙エレベーターには夢がある。「宇宙エレベーターを作りたい」研究者から子どもたちまでこの思いを繋げていくことこそ夢の実現に大きく進む事ができる。
実行委員会では、2015年11月8日に第3回競技会実施に向けて準備を始めている。今年もたくさんの子どもたちに会える事を楽しみにしている。
競技会は2010年頃から各学校や横浜市こども宇宙科学館(現在はまぎん子ども宇宙科学館と名称変更)で実施していた宇宙エレベーターロボット講座を競技会形式にし、子どもたちが製作したロボットを持ち寄りながら発表し、交流し、競い合おうというものである。2013年11月23日に東京都北区にある聖学院高等学校を会場とし、第1回宇宙エレベーターロボット競技会を行い、今回で2回目となった。第2回目を実施するにあたって、宇宙エレベーターの魅力を全国の子どもたちに伝え、競技会にはできるだけ多くの子どもたちに参加してほしいということで、30チーム以上の応募と150名以上の参加という目標を立てた。
まずは競技会のことを全国の教師や子どもたちに知ってもらうことが重要であり、競技会の他に以下の活動を実施した。
(1)指導者向けの講習会と子どもたち向けの講習会を分けて実施し、宇宙エレベータロボットの面白さを伝えるとともに競技会に興味を持ってもらう。
(2)Webページを開設し、競技会に関する情報を掲載するとともに問い合わせに迅速に答え、参加者を募る。
(3)神奈川大学附属中高等学校の学園祭で、120m上空まで昇降できる宇宙エレベータロボットを製作し、実験を繰返しながら問題点等を検証する。
2.活動内容
具体的には、以下の講習会等を実施した。
6月15日(日)レゴ本社(東京)
学校教師・指導者向け 宇宙エレベーターロボット教室 31名
6月29日(日)はまぎん こども宇宙科学館(神奈川)
小 中高校生 向け宇宙エレベーターロボット教室 25名
7月21日(月)パシフィコ横浜(神奈川)
小学生対象 生宙エレベーターロボット教室 70名
7月30日(水)神奈川大学 KU ポートスクエア(神奈川)
学校教師・指導者向け 宇宙エレベーターロボット教室 35名
9月27日(土)神奈川大学附属中高学園祭(神奈川)
小学生向け 宇宙エレベーターロボット教室 65名
宇宙エレベータロボット120mの挑戦 約200名
11月23日(日)神奈川大学附属中高等学校(神奈川)
第2回宇宙エレベーターロボット競技会 約500名
これまで子ども向けの宇宙エレベータロボット教室は何度も実施して来たが、指導者向け講習会は、今回が初めてであった。開催案内はWebページとメールや口コミが中心であるため、参加者が集まるか懸念されたが、毎回30名程度の参加があった。内訳としては、中学や高等学校教員で中心であったが、ロボット教室講師や文部科学省調査官の参加もあった。ロボットやプログラムの授業としての導入や部活動での取組み、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)実施校として研究テーマの採択検討など、様々な取組みを検討されていた。新潟や京都など遠方からの参加もあった。
3.第2回宇宙エレベーターロボット競技会
2014年11月23日に神奈川大学附属中・高等学校で、全国各地から33チーム150名を超える子どもたちが集まり、第2回宇宙エレベーターロボット競技会が開催された。
競技会では、午前中に宇宙エレベーター研究者である青木義男氏の講演が行われ、現在進んでいる宇宙エレベーター開発や実験についての詳し説明があり、参加している子どもたちや保護者は夢中になって話しに聞き入っていた。
4.競技の概要
昼食のあと、午後はいよいよ体育館で競技会が行われた。今年のレギュレーションは、バスケットゴールからテザーを降ろし、地上6mにドーナッツ状の宇宙ステーションをつり下げて、そのステーションに向けて地上から昇降ロボットを使って人間の代わりにミニフィグを運ぶという競技である。制限時間は4分で、ミニフィグ20体を運びきった場合は、タイムトライアルとなる。
体育館のコース脇には、チーム毎に長机を置き、昇降ロボットの最終チェックやトラブル対応などの調整作業を行う場所を設置した。33チームの昇降ロボットは、同じ形のものは一つもなかった。見本もなければ、設計図もない中で、子どもたちは自分たちのロボットを設計し、この日のために日夜がんばって製作してきた。
5.競技会
競技会では、コースを4カ所設置し、4チームが同時にスタートできるようにした。宇宙ステーションには、カメラを設置し、上から証拠ロボットが近づいてくる様子を大型スクリーンで映し出しながら、臨場感のある演出も行った。昇降ロボットが上がり、無事にミニフィグを宇宙ステーションに下ろして、下に戻ってくるたびに大きな歓声と拍手が起こっていた。中には上には上がったがセンサーが反応せず下に降りてこないチームや、1体のミニフィグもあげられないチームもある。しかし、20体のミニフィグ全てをステーションに運びきったチームは33チーム中11チームもあった。
そして、すべてのチームの競技が終わって結果を見たところ、1位は1分1秒ですべてのミッションを終えていた。これは予想以上にすばらしい結果であり、各チームのレベルがかなり高いところまで来ている事もよくわかった。1位と2位は高校生であったが、3位には小学生チームが入ったことは大変喜ばしいことであった。
6.ポスターセッション
競技会のあと、各チームがそれぞれ昇降ロボットの開発経緯やコンセプトを発表するポスターセッションを行った。「ぜひ説明を聞いてください」と積極的に声をかけてくるチームもあり、どのような工夫をしたか、またどんな問題が見つかり、それをどう克服したかなどを写真やイラスト、そして昇降ロボットを交えながら熱心に説明していた。
競技会で競い合った子どもたちが昇降ロボットの機構のしくみや作り方、プログラムについてお互いに讃えながら意見交換をしている様子は、私たちが狙っていた恊働学習、交流学習の成果であった。
7.まとめ
宇宙エレベーターは日本がリードする宇宙開発の夢の乗り物である。その宇宙エレベーターは、楽しみながらロボットの構造やセンサープログラミングを学べる格好の教材である。何より宇宙エレベーターには夢がある。「宇宙エレベーターを作りたい」研究者から子どもたちまでこの思いを繋げていくことこそ夢の実現に大きく進む事ができる。
実行委員会では、2015年11月8日に第3回競技会実施に向けて準備を始めている。今年もたくさんの子どもたちに会える事を楽しみにしている。