2015年[ 科学教育振興助成 ] 成果報告
季節によってプランクトンの生息数や種類は違うのか
概要
1.はじめに(研究の動機)
昨年の研究「場所によってプランクトンの種類は違うのか」というテーマでプランクトンの研究を行った。昨年度の研究では、池の環境によって生息するプランクトンの種類も変化することが分かった。しかし、昨年度は夏季でしか研究することができなかったので、今年度は、1年間かけてプランクトンの増減や種類の変化を観察していきたいと思い、研究を進めた。
2.予想~研究の仮説~
研究を進めるにあたって、3つの仮説をたてた。
①冬にはプランクトンの種類や数が少ない。冬は水温が低いため、増殖しにくいとおもったから。
②プランクトンの種類や数は、大池が一番多い。面積が広く、様々な環境があると思ったから。
③栄養が多い所には、節足動物が多い。身動きが取れ、栄養が多いところに移動すると思ったから。
3.昨年度からの改善点
①パックテスト
それぞれのパックテストを1本から3本に変えて精度を高めた。
②天気の推移
昨年度は天候の変化でプランクトン数が変化してしまった。
そこで、今年度は新聞を切り抜き、天気の推移が分かるようにした。
4.池の選定
玉川校区内にある3つの池にしぼり、研究を行うこととした。
弁天池は夏場にはヒシが水面を埋め尽くしている。
仮又池はため池のような場所で、波は立っておらず、水の透明度が高かった。
大池は3地点の中で一番面積が大きく、岸部は岩場になっており、コケ(藻)が生えていた。
5.実験方法
①水の採取
バケツを投げ入れ、25リットルの水を採取した。
②水の水質調査
パックテストでCOD、硝酸、リン酸濃度を測定した。また、水温計やpHメーターで水温やpHを測定した。
③水の濃縮
プランクトンネットで25mlに1000倍濃縮した。
④プランクトン観察
顕微鏡でプランクトンを観察し、観察したプランクトンを写真で撮ってプランクトン名を図鑑(1)で調べた。
⑤プランクトン数の計測
プランクトン計数板を用いて1mlあたりのプランクトン数を求めた。
計算式
(1マスのプランクトン数+
1マスのプランクトン数+
1マスのプランクトン数)÷3
=1マスのプランクトン数の平均
1マスのプランクトン数の平均×400
=0.1ml中のプランクトン数
0.1ml中のプランクトン数×10
=1ml中のプランクトン数
1ml中のプランクトン数÷1000
=採取した水1ml中のプランクトン数
6.結果
①水質調査
パックテストの結果、CODは7月に値が高く、硝酸濃度は5月に値が高く、リン酸濃度は弁天池 の5月に値が高いことが分かった。
②天気の移り変わり
新聞の切り抜きの天気の移り変わりからは6,7月の観察日前後で雨が降っていたことが分かる。プランクトンの数と比較をすると、雨が降っていた6,7月はプランクトン数が少ないということが分かった。
このことから、昨年考察していた「雨が降るとプランクトンが流され、プランクトン数が減る」ということが、今年も観察することができた。
③プランクトン数を分類別に表す
プランクトンを分類し、プランクトンの種類がどれほどいるか見た目で分かるように棒グラフにした。そのために、色分けをした。
グラフから4つ気づいた点があった。気づいた点についての考察は7.考察に示す。
7.考察
①冬はプランクトン数が少なく、春にプランクトン数が増加している
結果のグラフから、冬はプランクトン数が少なくなっていることが分かる。しかし、春の5月頃からプランクトンが増え始めている。このプランクトン数の増え方と、水温のグラフを合わせてみると、水温が20℃よりも低いときはプランクトン数が少ない。逆に、水温が20℃よりも高いときはプランクトン数が増えてきている。
このことから、プランクトンの数は水温に影響していて、寒いときは活発にならず(数を増やさず)暖かくなると増殖をしているのではないかと考えた。
②5月にプランクトン数が増えた
5月頃、ミジンコの体内に卵を持っているものを多く見つけた。
このことから、子ミジンコが増えたので節足動物の割合が増え、節足動物の計測数が増えたのだと考えた。
③5月にプランクトン数が増えたのにもかかわらず、6月にプランクトン数が減少した
5月はミジンコが増えたが6月は減っている。一方、緑藻類は5月は減っているが6月は増えている。
これらのことから、植物プランクトンと動物プランクトンは食物連鎖の関係があるのではと考えた。
④夏場に緑藻類やケイソウ類が多く見られた
夏場は特に植物プランクトンが大量に増えていることがわかる。このことから、夏は太陽が長くのぼっているので、光合成しやすく増殖しやすかったのだと考えた。
8.まとめ
1年のプランクトン観察結果をまとめた図を作成した。
冬場ではプランクトンはあまり数が増えないが、暖かくなってくるとプランクトン数を増やしていくことが分かった。
また、その中でも植物プランクトンが動物プランクトンに食べられたり、食べ物が少なくなって数を減らしたりすることが分かった。
「プランクトン」という小さな生き物の中にも「食べる・食べられる」といった食物連鎖があるということに気が付いた。
9.今後の課題
研究を通して、グラフに大きな誤差が出ることがあった。昨年度の反省からパックテストの数を増やしたが、次回からは個人の実験手順の方法を徹底し、誤差をできるだけ少なくしていきたい。
また、池の水の採取に行くと、池にゴミが浮いていることもあった。池の水が濁っている日やゴミが浮いている近くの水にいたプランクトンは形が少し変形していることもあった。このことから、今後はゴミや水質の成分がプランクトンにどう影響するのか調べていきたいと思う。
昨年の研究「場所によってプランクトンの種類は違うのか」というテーマでプランクトンの研究を行った。昨年度の研究では、池の環境によって生息するプランクトンの種類も変化することが分かった。しかし、昨年度は夏季でしか研究することができなかったので、今年度は、1年間かけてプランクトンの増減や種類の変化を観察していきたいと思い、研究を進めた。
2.予想~研究の仮説~
研究を進めるにあたって、3つの仮説をたてた。
①冬にはプランクトンの種類や数が少ない。冬は水温が低いため、増殖しにくいとおもったから。
②プランクトンの種類や数は、大池が一番多い。面積が広く、様々な環境があると思ったから。
③栄養が多い所には、節足動物が多い。身動きが取れ、栄養が多いところに移動すると思ったから。
3.昨年度からの改善点
①パックテスト
それぞれのパックテストを1本から3本に変えて精度を高めた。
②天気の推移
昨年度は天候の変化でプランクトン数が変化してしまった。
そこで、今年度は新聞を切り抜き、天気の推移が分かるようにした。
4.池の選定
玉川校区内にある3つの池にしぼり、研究を行うこととした。
弁天池は夏場にはヒシが水面を埋め尽くしている。
仮又池はため池のような場所で、波は立っておらず、水の透明度が高かった。
大池は3地点の中で一番面積が大きく、岸部は岩場になっており、コケ(藻)が生えていた。
5.実験方法
①水の採取
バケツを投げ入れ、25リットルの水を採取した。
②水の水質調査
パックテストでCOD、硝酸、リン酸濃度を測定した。また、水温計やpHメーターで水温やpHを測定した。
③水の濃縮
プランクトンネットで25mlに1000倍濃縮した。
④プランクトン観察
顕微鏡でプランクトンを観察し、観察したプランクトンを写真で撮ってプランクトン名を図鑑(1)で調べた。
⑤プランクトン数の計測
プランクトン計数板を用いて1mlあたりのプランクトン数を求めた。
計算式
(1マスのプランクトン数+
1マスのプランクトン数+
1マスのプランクトン数)÷3
=1マスのプランクトン数の平均
1マスのプランクトン数の平均×400
=0.1ml中のプランクトン数
0.1ml中のプランクトン数×10
=1ml中のプランクトン数
1ml中のプランクトン数÷1000
=採取した水1ml中のプランクトン数
6.結果
①水質調査
パックテストの結果、CODは7月に値が高く、硝酸濃度は5月に値が高く、リン酸濃度は弁天池 の5月に値が高いことが分かった。
②天気の移り変わり
新聞の切り抜きの天気の移り変わりからは6,7月の観察日前後で雨が降っていたことが分かる。プランクトンの数と比較をすると、雨が降っていた6,7月はプランクトン数が少ないということが分かった。
このことから、昨年考察していた「雨が降るとプランクトンが流され、プランクトン数が減る」ということが、今年も観察することができた。
③プランクトン数を分類別に表す
プランクトンを分類し、プランクトンの種類がどれほどいるか見た目で分かるように棒グラフにした。そのために、色分けをした。
グラフから4つ気づいた点があった。気づいた点についての考察は7.考察に示す。
7.考察
①冬はプランクトン数が少なく、春にプランクトン数が増加している
結果のグラフから、冬はプランクトン数が少なくなっていることが分かる。しかし、春の5月頃からプランクトンが増え始めている。このプランクトン数の増え方と、水温のグラフを合わせてみると、水温が20℃よりも低いときはプランクトン数が少ない。逆に、水温が20℃よりも高いときはプランクトン数が増えてきている。
このことから、プランクトンの数は水温に影響していて、寒いときは活発にならず(数を増やさず)暖かくなると増殖をしているのではないかと考えた。
②5月にプランクトン数が増えた
5月頃、ミジンコの体内に卵を持っているものを多く見つけた。
このことから、子ミジンコが増えたので節足動物の割合が増え、節足動物の計測数が増えたのだと考えた。
③5月にプランクトン数が増えたのにもかかわらず、6月にプランクトン数が減少した
5月はミジンコが増えたが6月は減っている。一方、緑藻類は5月は減っているが6月は増えている。
これらのことから、植物プランクトンと動物プランクトンは食物連鎖の関係があるのではと考えた。
④夏場に緑藻類やケイソウ類が多く見られた
夏場は特に植物プランクトンが大量に増えていることがわかる。このことから、夏は太陽が長くのぼっているので、光合成しやすく増殖しやすかったのだと考えた。
8.まとめ
1年のプランクトン観察結果をまとめた図を作成した。
冬場ではプランクトンはあまり数が増えないが、暖かくなってくるとプランクトン数を増やしていくことが分かった。
また、その中でも植物プランクトンが動物プランクトンに食べられたり、食べ物が少なくなって数を減らしたりすることが分かった。
「プランクトン」という小さな生き物の中にも「食べる・食べられる」といった食物連鎖があるということに気が付いた。
9.今後の課題
研究を通して、グラフに大きな誤差が出ることがあった。昨年度の反省からパックテストの数を増やしたが、次回からは個人の実験手順の方法を徹底し、誤差をできるだけ少なくしていきたい。
また、池の水の採取に行くと、池にゴミが浮いていることもあった。池の水が濁っている日やゴミが浮いている近くの水にいたプランクトンは形が少し変形していることもあった。このことから、今後はゴミや水質の成分がプランクトンにどう影響するのか調べていきたいと思う。