1998年[ 技術開発研究助成 ] 成果報告 : 年報第12号

頚の傾斜、回転、および回旋角測定装置の研究開発

研究責任者

岡田 徳次

所属:新潟大学 工学部 情報工学科 教授

共同研究者

三村 宣治

所属:新潟大学 工学部 福祉人間工学科 助教授

概要

1.はじめに
頚の傾斜,回転,および回旋に係わる角度の測定は,人間の体の若さや柔らかさの評価に1つの目安を与える効果があ。また,マニピュレータの腕や管内走行車を制御する場合,その姿勢を知ることは非常に重要である。このような測定に広く角度や姿勢の検出に用いられるトルクバランス型,静電容量型等を用いる場合,これらのセンサの多くが検出範囲を特定軸周りに制御することから,三次元の測定が困難となる。ジャイロのように慣性力や光の伝搬時間差,位相差を利用するセンサにおいては,高精度な計測を可能にするが,時間の経過と共に誤差を累積し,また,コスト高になるのが問題となる。
上記問題の解決にはセンサの無軸比が重要で,球状の容器や塊状の錘を構成要素として利用するのが有効と考えられる1-4)。このことは,生物の感覚器官の観察によって裏付けられる。事実,ザリガニは前頭部に平衡石(小さな石)を内在させる球形の平衡嚢を備え,その中で自由に移動する平衡石の方向を内壁面の繊毛(神経)で知覚する。これに相当する人間の器官は,三半規管で互いにつながる複雑な形状の管となり,その中のリンパ液の移動が平衡覚に関与する。この器官は,基本的に3つの平衡嚢を合体させたものと見なすことができ,ザリガニの平衡嚢内面を3分割して繊毛の受容能力を高め,計測の信頼性を高めているとも言える。もし,平衡嚢中から平衡石を取り除くなら,ザリガニは平衡覚を失い,上下逆さの姿勢でも平気な姿態を示す。こうした生物の平衡覚器官は重力方向検出センサとみなされる。
球容器内部に液体を封入し,その内面に沿って転がるように細工される磁石は,方位計(コンパス)としてすでに利用されている。これは,方位情報を視覚に訴えるもので暗所では役に立たない。暗い所でも使えるようにするには方位情報を電気信号として取り出す必要がある。これを実現するものは現在のところ見あたらない。ましてや,磁石を取り付ける盤を球容器内で自由に移動,回転出来るように浮かし,容器外壁面上に配置するホール素子によって磁界強度を入力し,その出力を用いて磁石の存在面や軸方向を電気信号として抽出することを可能にするものは今のところ見あたらない。
本研究は,全作用力方向(主に重力方向)を電気信号として取り出し,生体運動の計測に役立つ装置の開発について考察する。このため,磁気的手段により重力方向,および方位を計測する装置の構成法,検出原理,信号処理,ホール素子の最適配置について明らかにし,また,実際に生体に装着して頚,および身体の傾斜角,前後側屈角,回転角,および回旋角を測定する装置の設計と試作による実験を行う。本稿ではとくに基盤技術の開発に焦点を絞って考察した結果について述べる。以下,磁気的手法を用いる新しいセンサの検出原理を提案し6)9また,この原理の応用に必要な装置の最適化と有効性の検証のための実験結果7)について報告する。
2.センサの構造
測定装置の主要部は信号処理部とセンサヘッドに分けられる。信号処理部は所定のアルゴリズムを繰り返し実行させるだけでよいため,最終的には小型なモジュールとしてコンパクトに設計するが,本研究ではプログラム変更の容易性を考えてパソコンを使うことにした。センサヘッドは主として,Fig.1のように,1)一様な厚さの非磁性の球容器(以下,単に容器と呼ぶ),2)キノコの形をした円形中空浮動盤(以下,単にフロートと呼ぶ),および,3)ホール素子,とで構成される。
具体的には,容器内部に即応性のよい低粘性の非圧縮性非磁性流体(アルコール)を封入し,その中にフロートを浮かべる。ただし,液体の注入量を容器内の一部にガス層を残す程度に留め,フロートを容器直径に近い領域に位置づける。また,容器内壁との間に隙間を設け,フロートは内壁面に沿う移動のみならず,その軸周りに自由に回転できるものとする。さらに,フロートは,その下部に均一で軸対称な磁界分布を有する円板状永久磁石を重錘として備える。これにより,磁石はFig.2に示すように,容器に作用する外力によって,液体と共に移動し,容器壁から一定の距離をおいて容器と同心状な球表面C上に位置づけられる。磁石軸をフロート面中央に垂直に取り付ける場合,磁石軸は静的状態で重力方向を指し,また,磁石軸をフロート面内に置く場合,磁針計と同様,南北を指して落ち着く。
一方,容器外壁面上にはホール素子を一定の間隔をおいて接着固定する。その数は,少なくとも4個必要である。取り付け面は,容器の内面,外面を問わないが,外面にすることで製作が簡単になる。Fig.2は,容器に外接する正四面体の頂点にホール素子Hlを配置する例を示す。各ホール素子には磁界強度に比例するホール電圧を入力するための導線が結線されることは言うまでもない。このように構成される無軸の一体化された容器は,浮動する磁石の磁界を常時検出し,センサヘッドとしての役割を果たす。
3.磁界強度と等磁位面の導出
永久磁石は,均一で軸対称な磁気特性を有することを必要とするが,これを実現するものが必ずしも平板とは限らない。半径に応じて厚さを変える磁石がこれに該当するからである。設計如何によってはこのような磁石が測定装置の特性改善に有効になる。このため,使用する磁石の磁気特性の把握は非常に重要である。そこで,磁石表面を有限の点磁荷配列面とみなして任意点の磁界ベクトル,および等磁位面の算出式を導出する。ただし,座標系としてN極とS極を結ぶ軸をZ,Z軸に直交する2つの軸をX,Yとする。なお,ここで得られる基本式は,文献8)に述べられているので本稿では省略する。
電圧で表されるホール素子出力(以下,ホール出力と呼び,単にVで表す)は,一般にその面に入力する磁界の強度に比例すると見なせるため,磁石とホール素子の位置と方向が相対的に固定されると,計算で求まる。ホール素子面が容器中心を向くことに注目すれば,ホール素子と磁石軸は同心状にあり,これらをみる容器中心角(以下,αと定める)が定まる。磁界強度は,このαと一意の関係にあるため,αを指定する場合の磁界強度値の等しい点を結ぶことで等磁位面を定めることが可能である。
以下,Fig.3のように容器中心oから容器内壁,磁石中心,ホール素子面までの距離をそれぞれ,rW,r、,rhで表し,等磁位面を数値計算によって求める。その結果,ホール素子軸周りの回転面が得られる。この等磁位面を回転軸を含む面で切断し,二次元で表示するとFig.4となる。ただし,図は,rhを縦軸に,またその両側にαをそれぞれ目盛る。図中,αの値は限られた範囲に存在するのがわかる。図にないαの±π[rad]の周辺,すなわちrh〈0では,ホール素子の入力する磁界方向が逆転するので等磁位面も逆極性となる。しかも,その大きさは,磁石から遠くなるので小さくなる。
4.平衡覚抽出法
平衡覚抽出のために必要なホール素子出力信号の処理とこの処理の有効性を確認するためのシミュレーションについて述べる。
4.1磁石位置の算出
容器にホール素子を接着固定すると容器中心からホール素子面までの距離rhが定まる。磁石は同心状の球表面Cと3節で求めた等磁位面との共通部分に存在し,その領域は1つの円となる。以下,これを等磁位円と呼び,その半径をUと定める。全てのホール素子について同様なことが言え,個々のホール素子からFig.5に示される独自の半径をもつ等磁円G1が形成される。磁石とホール素子の磁気特性に軸対称性がなければ,等磁位部は円にならないが,一般に円板磁石やホール素子チップには軸対称性が備わり,また,その入手は容易で,使用する素子の条件として設定することに問題はない。
ところで,ホール素子毎に形成される等磁円はその上のどこかに磁石が存在することを意味し9しかもその半径の大小によって磁石の存在位置がそれぞれ,ホール素子から遠いか近いかを判断する材料となる。しかし,それだけでは磁石の存在点を実際に割り出すことはできない。そこで,少なくとも互いに近傍にある3つのホール素子から得られる等磁円G、,G;+i,Gl+2に着目する。これらは,一般に1点で交差し,この点が正に,求めようとする磁石の位置である。
永久磁石の磁荷の減衰は極めて少ないこと9およびホール素子毎の電気的特性は既知で不変であること,を考えると磁石が移動しても等磁位円の再現性は極めて高い。3つのホール素子から得られる等磁位円半径とホール素子の取り付け位置に関する幾何学情報とを用いて磁石位置(以下,(Xm,Ym,Zm)とする)の算出が一意に可能となる。磁石は重錘としての役目も果たし,磁石位置が定まれば,その位置に容器内の重錘が移動したと見なし,磁石中心から容器中心方向に加速度が作用すると判断する。そして,その方向を静的状態では重力加速度,また,動的状態では重力加速度と運動加速度の合成力方向として定める。
4.2信号の処理法
磁石が容器内壁面から常に一定の距離を置いて浮動しまた,ホール素子面が,容器中心に向けて固定されることを考えると,等磁位円の半径Uiは磁石浮動面半径r、を用いて次で表される(Fig.6参照)。
このことから,Uiとα、は互いに変換可能でUiを算出する代わりにαiを算出することでもよい。とくに,等磁位曲面形状が複雑になるとその表現式が複雑になり等磁位円の算出が厄介になる。そこで,実際の信号処理としてホール出力vをαの算出に利用し,磁石位置を3つの円の交点としてではなく,円G;(i=1,2,3)を有する3つの平面(以下,π、(i=1,2,3)と表す)の交点として求めることにする(Fig.7参照)。そして,等磁位円半径の算出を省略することにした。ホール素子の取り付け位置に関するパラメータをFig.6のようにγi(Z軸周りの角度),β1(Z軸からの偏角)とすると,平面π1は次式で表される。
(2)式を適用してホール素子Hiに対応する平面πiが定まり磁石位置(Xm,Ym,Zm)はCramerの公式から簡単に定まる。ただし,得られる信号の中から大きな値として選び出される3つを実際に使用する。これは,vが大きいほど3平面の交点が得易くなる理由による。これらの信号を出力する素子は必ずしも隣接する必要はないが,素子を一様に配置する限り,互いに近傍にある。磁石位置(Xm,Ym,Zm)が定まると,座標系原点からこれを見る方向として検出すべき作用力方向を表すパラメータθ,φは以下のように計算される。
ただし,θとφは,Fig.6の中のβやγと同様な定義により
X軸周りと,Y軸周りの傾きをそれぞれ表す。
4.3α一v特性を調べるシミュレーション
〃-v特性を理論的に算出するプログラムを用意することは,センサヘッドに固有なパラメータ値の変化が測定精度に与える影響を調べ,また,使用するホール素子数やセンサ構造の最適化に有効である。
そこで,磁石強度を有限要素法的に求め,実際の測定状況を模擬することにした。事実,容器内を浮動する磁石の磁界をホール素子で検出する状況を,容器を使わず,Fig.8に示すセットで等価的に実現し,実測値と比較検討することにした。rhを固定してr。を変化させる場合の結果について示すとFig.9となる。ただし,(a)はシミュレーション,(b)は実測である。両図から実測値と計算値が似ることが分かり,シミュレーションプログラムが実験値の推定に有効なことを確認できる。
5.基礎実験
一体化したセンサヘッドの製作とパソコンを用いた計測の実験について述べる。
5.1センサヘッドの製作
原理の検証実験を行うため,容器,フロート,ホール素子を一体化して外半径約30mmのセンサヘッドを製作した。各要素を組み立てる過程の外観はFig.10に示される。全重量は10グラムである。このセンサヘッドは,Fig.1の構造を採用し,以下の仕様になっている。
永久磁石(ネオジマグネット)Nd-Fe-B:5φ×3t×1.5g
表面磁束密度;3500gauss
プラスチック容器(内径,外径):25.4φ,28φ
フロート(全高,磁石を含む重量):18.Omm,約3.Og
フロート傘(外径,厚さ):13.8~20φ,13.Omm
フロート傘軸(外径,長さ):7.5φ,5.Omm
封入液(種類,液量):揮発性アルコール,器内容積の約80%
InSbホール素子サイズ(W×D×H):2.1×2.1×0.6mm3(旭化成HW-105C)
5.2磁石とホール素子の軸対称性
磁石の磁荷分布,検出精度が軸周りで均一(=軸対称)であることの確認が重要である。このため,Fig.11のように,磁石とホール素子の中心軸を平行にして一定の間隔をおき,ホール素子を固定し,磁石をその軸周りに回転させる場合の磁石の軸特性(a)と,磁石をホール素子中心軸周りに回転させる場合のホール素子の軸特性(b)をそれぞれ調べる実験をした。磁石とホール素子の軸方向距離を2.0[mm],また,磁石特性(a)における軸間距離(・d)と,ホール特性(b)における磁石の回転半径(-s)をともに1.0[mm],2.0[mm],3.0[mm]に変化させる場合の結果をFig.12に示す。ただし,図の半径方向は,ホール出力を目盛る。(a),(b)とも中心から外側に向かって,0.11[v],0.38[v],0.55[v]となり,軸対称になることを確認できる。
5.3磁石浮動半径,および容器半径の影響
αとvの関係は,磁石の浮動半径r,,ホール素子面半径rh,容器内壁半径rw,あるいは磁石自身の半径rmや厚さhにより変化し,これがセンサの測定感度や使用するホール素子数の決定に影響を与える。ここではとくに,r。とrhの2つに着目してαとvの関係を考察する。ただし,実験ではホール素子を固定し,素子から距離rh離れる線を軸にして回転する半径r、の回転体の外周に磁石を固定し,回転体のホール素子方向からの偏位角をαとして与え,そのときのホール素子出力をvとする。
一例として,rhを16.5[mm]に固定し,r、を変化させる場合のホール出力を測定した。結果は前掲のFig.9bとなる。図からr,が増大すると,ホール出力は増大するが検出可能なαの範囲は狭まる。逆にr、が減少すると,ホール出力は減少するが検出範囲は広がる,という事実を確認できる。また,r、を10[mm]に固定し,rhを変化させる場合のホール出力を測定した。この結果の図示を省略するが,この場合は逆に,ホール出力はrhが減少するとき増大し,rhが増大するとき減少する,という事実を確認した。
いずれの場合もシミュレーションと実測の値が似ており,両者は妥当であることが示される。
一般に,ホール出力が小さいと測定感度を低下させ,また,αが小さいと,ホール素子の検出範囲を有効に使えなくし,多数のホール素子を配置することになる。ここで,全方向の測定に必要なホール素子数は,r、に比例し,tan2αに反比例する傾向にある。このため,センサの大きさ,ホール素子数,測定感度のいずれに重点を置くかによってr、が決まり,これが,製作の指針となる。
また,方向の影響を受けず一様な測定精度を得るには,ホール素子を同一間隔で配置することになる。このため,正多面体の面中心,頂点,稜線中心,のいずれかの方向に配麗することになる。この場合,表1の15種の配置が考えられる。表中の括弧内数字は,隣会う素子の中心角を表す。ここで,|α|≦ζ[rad]とすると1個の素子が容器外表面積に関与する分は近似的にπ(rllsinζ)2となるので全表面積に関与する素子数,すなわち,必要なホール素子数nは,次式から計算される。
この関係を表にすると表2となる。例えば,ζ=25°とすると,ホール素子は,少なくとも20個必要で,表1を参照して正20面体を適用することになる。もし,ホール素子を粗に配置すると4.1節で述べた3つの円は得られるが,一点では交わらない事態が発生する。このため,素子数は,冗長でない範囲でαの範囲から計算される値以上とするのが望ましい。多すぎると,有効な3つの素子の選択に時間をとることに注意しなければならない。5.1節の仕様においては,20とするのが妥当で,実際のセンサもその数を備えることにした。
5.4製作したセンサヘッドのα一v特性
センサヘッドの仕様が定まるとr。とrhが固定され,αとvは唯一の曲線で関連づけられる。実際に,5.1節の仕様でデータを収集し,Fig.13の結果を得た。図中,黒丸,太線,細線は,それぞれ実測値,実測値の近似,シミュレーション結果を示す。ただし,実測値の近似式として4次式を設定し,各係数を最小二乗法により決定した。図からα一v特性は単峰性であることを確認できる。また,範囲外のα(例えば,π[rad]近く)になるとvは符合を変z,絶対値も小さくなる。このことは,容器外壁面の各点における磁束密度を外壁面を零として半径方向に表示するFig.14から明らかである。ただし,図は磁石が真右にある場合で磁束の最大値は540gaussである。r,,rn,rm,hの各パラメータは,それぞれ10[mm],14[mm],2.5[mm],3[mm]である。
5.5実測結果
センサヘッドとマイクロコンピュータをA/Dボードを介して接続し,静的状態で実験した結果の誤差は最大で約1.8度であることを確認した。
6.誤差解析
計測誤差の原因と考えられるものは大きく9センサを構成する要素の,1)加工精度や組立精度,2)用いる要素の特性や状態の変化,および3)測定環境中の磁界変化,の3つと考えられる。細かく言えば,1)については,容器内面の形状精度,容器厚さの不均一性,フロート軸の偏心,ホール素子の取り付け位置と取り付け方向精度,磁石の取り付け位置と方向精度,半球容器結合部の不連続性,フロート重心の位置ずれ,等がある。2)については,ホール素子の電気特性の不均一性と対温度特性,容器内液体の温度変化による膨張/収縮,等がある。3)については,地球磁場,等である。3)については,用いる磁石が3500gaussの強力磁束を有するため,(0.3gauss程度の)地磁気の影響は殆ど認められなかった。α一v特性を実験的に与えるため,ホール素子の非線形性は全く問題にならなかった。
2)については,使う素子を吟味することで解決するしかないが,1)については,加工や組立の方法に工夫をし,また,専用の治具を用いる等して改善の余地が十分残されている。この場合,どの程度改善出来るかを定量的に知ることは,効率のよい対策を実施する上で重要である。このため,π平面の決定に大きな影響を与えるβとγの2つのパラメータについて取り上げた。その詳細については紙面の都合で省略する。
7.まとめ
容器内に封入される液体と共に浮動する磁石による磁界を,容器外に取り付けるホール素子により測定し,この信号を一定の手続きによって処理し,磁石位置を割り出す方法を提案した。また,センサヘッドの最適設計に必要なデータを得た。さらに,磁石に重錘の機能をもたせ,磁石位置から平衡覚を抽出することが可能となることを製作したセンサヘッドを使って実証した。そして,検出方向を制限しない全作用力方向の検出が,約1.8度の精度となることを確認した。さらに,誤差解析を行い,ホール素子取り付け位置のずれや,環境の変化として考えられる温度の影響,さらには,過渡的な液の揺れ,等が測定精度に与える影響について定量的に考察した。今後,位置決め装置による,ホール素子の容器表面への精密な接着固定法を採用し,測定精度をさらに高めていくとともに,生体運動部の計測への応用を検討していく予定である。