2010年[ 中谷賞 ] : 年報第24号

超音波マイクロスコープの開発と生体組織性状診断への応用に関する研究

研究責任者

金井 浩

所属:東北大学大学院 工学研究科 電子工学専攻/工学研究科 医工学専攻

概要

1.はじめに
医用超音波診断装置が開発されて40余年間、日本を中心に多くの研究と技術開発が行われてきた。体表から体内へ送信した超音波パルス(数MHzの縦波超音波)が、体内で音響的インピーダンスの変化する部位から返ってくる反射波・散乱波の振幅を輝度に変換して描く2次元断層像、赤血球からの散乱波の超音波周波数が血流速度に応じてドップラ効果を受け偏移することを利用した血流速度計測が開発され、それらの簡便さ・安全性から臨床現場で多大な貢献をしている。
心臓は心臓壁を構成する心筋が電気信号を受けて収縮し」血液を拍出しているが、そのポンプ機能の評価のため、上記の血流速度計測を心筋の局所ごとに適用した心筋の収縮機能・拡張特性の計測も近年行われている。
また心臓疾患の初期には、収縮機能よりも弛緩特性の方に心筋の特性変化が先行して現れることも知られており、弛緩特性に対応する心筋自体の機械的特性(硬さ軟らかさを表す弾性特性)を計測する試みもある。上記の超音波断層像に用いられる縦波超音波の音速(体積弾性率に対応)は、心筋梗塞による病変部において高々数%程度の変化しかないが1)、横波の伝搬速度は生体軟組織が異なれば約3桁程度の大きな変化を示すため2)、横波の伝搬特性によってずり弾性率を計測することには大きな利点がある。
弾性特性の計測には、相手にカ(応力)を与えてその変形(歪み)を計測する方法と、振動を伝搬させて伝搬速度の計測から、密度を仮定して弾性率を算出する方法に大別できる。皮下組織などには前者が適用できるが、心臓では実際に加えた応力の大きさを計測すること自体が難しい。さらに心臓では、応力を胸壁から的確に印加することが容易ではない。そこでわれわれは、(聴診器で聞くことができる)心音の源になっている心臓壁の振動(横波)の伝搬を、後者の弾性率計測に利用しようと考えた。
一方、急性心筋梗塞などの循環器疾患は、動脈硬化の進行にともなって動脈の壁の内側にできた病変(粥腫(じゅくしゆ))の壁(図1)が破れ、病変内部の(お粥状の)脂質が」血管の中に流れ出て血栓をつくり、」血管内腔を一時的に狭くしたり塞いだりすることで、下流側の組織に栄養や酸素が十分行き渡らなくなることで発症する。この病変の破裂が頸動脈や脳内で起きれば急性脳梗塞になり、心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈で起きれば急性心筋梗塞・不安定狭心症となる。一旦こうした重篤な病気が起きると、後遺症のため長期にわたる治療が必要となり、医学的にはこうした病変が、破裂しやすいか(易破裂性(えきはれつせい))あるいは病変部を覆う線維性の膜が硬くて安定であるか(安定性)を診断することが重要となる。もし破裂し易い状態にあれば外科的措置が可能である。そのため血を見ずに(非観」血的に)病院の外来で手軽に診断できる技術や装置が切望されてきた。
頸動脈は皮膚から浅いところにあるため、市販の医用超音波装置で断層像を診ることはできるが、現状では病変の安定性の判断までは難しい。冠動脈は、細いことと心臓の拍動が複雑なことから、体外から超音波で調べることは難しいが、冠動脈の動脈硬化は頸動脈の動脈硬化との相関が高いことが確認されている。
従来、病院などで計測されてきた血管の硬さには、心臓から全身に血液が送り出されるときに出る圧力(脈)が体を伝わる速度(脈波伝搬速度)や、そうした圧力の変化によって血管が拡張するときの直径変化の計測がある。しかしこれらは、」血管の軸に沿った方向や断面の円周方向での平均的な硬さにしか対応しないため、粥腫病変の内部の物性にまで踏み込んでは把握できなかった。そこで我々は市販の医用超音波装置を改造し、特別な処理によって動脈の壁や病変内部の硬さに関する断層像を求める方法を開発した。さらに硬さ分布からそこにある組織の種類もある程度決められることも分かった3)。
2.超音波による動脈壁1拍内での厚み変化の計測
血液は、ほぼ1秒1拍の割合で心臓から全身に送り出されているが、そのとき出る圧力(脈)によって、血管の内部は、(普通の血圧測定で得られる)最低」血圧から最高」血圧に上昇する。さらに内圧の上昇にともなって血管の直径が広がる。一方、生体組織は、圧力変化を受けたときに、その形は変化しても体積は変化しないこと(非圧縮性)が知られている。この性質をi血管壁の輪切り断面で考えると、内圧の上昇によって内腔が広がると同時に血管壁が薄くなる。我々は、1拍の中で生じる最高血圧と最低」血圧の差(脈圧)により、」血管の壁が僅かに薄くなる度合い(厚み変化)を、超音波を駆使して体の外から測ろうと考えた。
しかし、市販の医用超音波装置で」血管の断層像を眺めると、確かに1拍の中で生じる直径の変化は分かるが、厚みの変化までは分からない。頸動脈は、内直径が約6mm、壁の厚さが約1mmで、1拍の中での直径の変化は約300~400ミクロンあるのに対し、壁の厚みの変化は約30ミクロン程度しかない。そこで我々は、皮膚表面から動脈に送信した超音波パルスが、動脈壁で反射してまた皮膚まで戻ってくるまでの時間(伝搬時間)から、動脈までの距離を高い精度で計測するための工夫を行った。電気信号を超音波に変えて」血管に送信する超音波プローブ(図1)から、複数の超音波ビームが順番に出ている。血管に達した超音波は、まず血管の前壁の外側・内側で一部分が反射し超音波プローブに戻る。さらに後壁の内側・外側でも反射する。それら反射してきた超音波を同じ超音波プローブで受け、再び電気信号に変換し、各々の伝搬時間を計測する。我々はこの計測を高い精度で行うことができるように工夫を行ったところ4)、市販の医用超音波装置を用いて(超音波の周波数は約7~10MHz)、対象物の変位や厚み変化を0.5ミクロンという高い精度で計測できるようになった。
さらにこの計測技術を心臓壁にも適用し、拍動に伴って動く心臓の壁上にある振動の計測に成功している。聴診器で「ドッキン・ドッキン」と聞こえる心臓の音(心音)は主として心臓の弁の閉鎖によって発生するが、この技術によってその音に対応する横波振動が、心臓の壁を伝わる様子を描出できるようになった。その伝搬速度から、後述するように心臓の筋肉(心筋)の硬さなどの情報も得られる。
3.動脈壁の1拍内での厚み変化の計測結果
図2は、健康な青年の頸動脈に本方法を適用した結果である。横軸は時間を表し4拍分を示している。図2(a)は縦軸が皮膚からの距離(深さ)で、濃淡は戻ってきた反射波の振幅を表しており、血管の前壁と後壁から大きな反射波が戻ってきている。図2(b)の心電図のパルス(R波)のタイミングの直後に血液が心臓から送り出され、図2(a)の前壁が上(皮膚表面)方向へ、後壁が下方向へ移動し、その後また元に戻る様子が分かる。これが内圧の上昇に伴う血管内腔の拡張である。この拡張は、図2(c)の心音に見られる大きなパルス(大動脈弁の閉まる時に発生する振動)の時刻まで継続する。また図2(a)中の2本の横線は、上述の方法で追跡した、血管の前壁の表側と裏側に設定した2点の動きで、血管の拡張にともなう距離の変化(変位)が現れている。
一方、図2(d)と(e)には、図2(a)の2本の線上の点の速度を波形で示す。心電図R波の直後に上向きの速度が生じている。しかも図2(d)と(e)の速度波形の振幅に差がある。2点が単に平行移動だけしていれば同じ速度をもつが、図2(d)の外側の点の速度が図2(e)の内側の点の速度より僅かに小さいことは、この2点間に厚み変化があることを意味する。この速度差を時間積分して変位の次元にし、2点問の厚み変化を図2(f)のように算出できる。1拍の中で30ミクロンという非常に僅かの厚み変化を再現性良く計測している。現在のところ、こうした微小な厚み変化は、他のいかなる非観血的手法によっても計測できない。
ここまでは血管壁の表と裏の厚み変化を示したが、図2(a)では、壁内の組織の不均一性により」血管壁の内部からも反射波が戻って来ている。そこで1本の超音波ビーム上で、血管壁の表と裏の問に多数の点を設定し、各々の2点問の変位の差から厚み変化を計測できる。しかし、送信している超音波パルスの長さが約400ミクロンであり、そのパルス長より薄い層の厚み変化は計測出来ない。そこで、1本の超音波ビーム上で375ミクロン離れた2点において、図2(d)と(e)のような速度波形の計測を行い「その間が均一に厚み変化を起こした」と仮定し、これら2点間からなる層の厚み変化を計測しその中心での厚み変化としている。この層設定を」血管の表から裏まで順番に75ミクロンずつ移動させ、各々厚み変化を計測する。さらに図1のように超音波ビームを」血管の軸方向に沿って150ミクロン間隔で順に約60本走査する。」血管壁の軸方向20mm、深さ方向10mmの領域に、約7, 500個の微小領域を設定し、各微小領域での厚み変化を計測する。
4.壁と病変部の硬さの計測
得られた厚み変化の1拍中での最大値を、層の元の厚み(375ミクロン)で割ることで歪みを求める。さらに最高血圧と最低血圧の差(脈圧)をこの歪みで割ることによって、設定した微小領域の硬さ柔らかさ(弾性率)を算出できる。ただ、ここで」血管壁が薄くなることは、内圧の上昇で壁が外側に押される半径方向の縮みと、内腔の広がりとともに直径が増すことによる円周方向の伸びが起因する。そこで各微小領域内で、円周方向と半径方向での伸縮における硬さが等しい(弾性率の等方性)と仮定し円周方向の弾性率を算出した。こうして「硬さ(弾性率)に関する断層像」をイメージングできる。評価実験から、計測誤差は元々の弾性率の8%程度であることを確認している3)。
5.超音波による組織同定
患者から摘出した動脈の粥腫病変部を含む9例に関し、各々人工心臓によって患者とほぼ同じ血圧変化を与え、本手法で「弾性率に関する断層像」を計測した。計測後に染色して顕微鏡で観察した画像で「脂質」と「線維組織」の領域を指定し、各々の組織に属する微小領域ごとに、弾性率の分布(ヒストグラム)を調べた図3(a)。「脂質」(黄色)と「線維組織」(水色)の分布は、横軸の弾性率で0.3MPaを境に分類できることが分かる。すなわち、硬さの計測によってその組織が「脂質」と「線維組織」のいずれかであるかの識別(組織同定)ができる(この処理を電子染色と名付けた)。
図3(b)の上段の左右は、高脂血症患者2名の頸動脈にみられた粥腫病変を、市販の医用超音波装置で観察した断層像を示している。これらでは病変内の組成あるいはその易破裂性に関する推定は難しい。この画像内の緑の四角内に設定した各点にっいて、上述の手法で得られた弾性率の断層像を図3(b)の中段に示す。この「弾性率断層像」は、まるで病変にメスで割を入れたように内部の弾性値を像に表している。さらに図3(a)で得られた約0.3MPaの境界値をもとに、図3(b)の中段の各点での弾性率を、(1)「脂質」、(2)「線維組織」、「それ以外の組織」に分類し、(1)と(2)の領域に関しては各々黄色と水色で着色した。こうして得られた「超音波による組織同定」の結果を図3(b)の下段に示す。図3の左右の症例はいずれも粥腫病変があるが、この弾性率断層像および組織分類の結果から、粥腫の内側に非常に柔らかいもの(黄色の脂質に分類)が存在し、内腔面との境界を硬い層(水色の線維層に分類)が覆っているという分類結果が得られている3)。
6.心臓壁の振動波形の計測
図4(上)は、通常の医用超音波診断装置で得られた健常者の心臓の断層像である。その右上の図は、超音波ビームの扇状の走査範囲を示す。医用超音波診断装置では、このような断層像が毎秒30~60枚リアルタイムで表示され、形態上の変化や肉眼で確認できるゆっくりした動き(振幅lmm以上、周波数30Hz以下)を診断に役立てている。われわれは、心音が聞こえる以上は、さらに高い周波数成分や微小な振幅の振動があるのではないか、という観点から、超音波を用いて心臓壁の振動を波形として計測する方法を開発してきた5)。
図4(下)の上から3段目と4段目の波形は、図4(上)の心室中隔壁の両側(右心室側・左心室側)の2点の振動を示している。連続する6拍分を、1段目の心電図をもとに拍ごと切り出し重ねて表示している。拡張期(diastole)の長さは1拍ごとに変化しているが、収縮期(systole)から等容性弛緩期(isovolumic relaxation period)に関しては、速い成分も含め高い再現性がある。2段目の波形は、胸壁上のマイクで計測された心音で、等容性弛緩期直前(To)の第II音は大動脈弁の閉鎖によって発生すると言われるが、3段と4段の振動波形には、その閉鎖時刻(To)において鋭いパルスが観察できる。
7.壁振動波形の空間分布
超音波ビームの送信方向を16方向に実時間で制御し、各々の超音波ビームに沿って中隔壁内に770?m間隔で複数の点を設定し、総計約数百点における振動速度v(のをほぼ同時に計測した。図5(上)は、こうして中隔壁内の各点で計測した振動波形v(t)に関して、大動脈弁閉鎖時刻Toの前後±35msの区間における波形の空間分布を示している。各波形の縦軸がToを表す。大動脈弁根(root)付近の波形には、鋭いノッチパルスが、ちょうど時刻Toに観察される(図4(下)のToでの成分に対応)。このノッチの生じる時刻は、大動脈弁が中隔壁と接触している弁根で最も早く、心尖部寄り(図左側)では徐々に遅れている。
この伝搬遅延は高々数msとごく僅かであるため、空間分解能を上げる必要がある。しかし、計測したパルス状振動の波長は30Hz成分に関し約100mmであり、心臓全体の大きさに匹敵する。したがって、図5(上)で得られたパルスの振幅の空間分布を表示しても、空間分解能が悪く振動の伝搬の把握は難しい。
8.振動の心臓壁の伝搬の可視化
一方、波形の位相は1波長の中で360度変化する。そこで、v(t)に短区間フーリエ変換を施して得られた複素スペクトルから、数十Hz成分の位相を求める。この処理を、中隔壁内に設定した複数点すべてで計測された振動波形v(t)に適用することで、振動波形v(t)の位相の2次元空間分布が得られる。さらに短区間フーリエ変換を施す時刻を約2msずつ移動することで、位相の2次元空間分布の時間的変化が図5(下)のように得られる6)。位相の値(0~360°)は、図5(下)の右上の図を用いて色に変換している。ここで求めた位相は、周波数解析を行う35msの時間窓の中で、窓の中心時刻からのパルスの遅延時間を表している。
1時刻の空間分布だけでは、パルスの生起時刻に単なる遅延があるだけか、確かに振動が伝搬しているか区別できないが、図5(下)のように2ms間隔で連続的に得られた位相の2次元空間分布の時間的変化(あるいはその動画)から、大動脈弁閉鎖時に数個のパルス状波形が、大動脈弁根で生起し、心尖部(図左)と心基部(図右)へ伝搬していることが確認できる。
9.伝搬速度の周波数特性
図5(下)に示す位相の空間分布を解析することで、大動脈弁閉鎖時刻Toの前後(-8msから+10ms)の各時刻、10Hzから90Hzまでの各周波数成分に関して得られた位相速度を図6(下)に点で示す。周波数分散性があるとともに、大動脈閉鎖時刻(To)周辺の短時間に位相速度が急激に減少していることが分かる。
粘弾性板(中隔壁)に沿って伝搬する波動現象として3種類の板波がある。SHずり弾性波、対称モードのラム(Lamb)波、非対称モードのラム波である。図5(上)に示すように、右心室側・左心室側の振動はほとんど同相である。また、健常者の中隔壁の厚みは約10mmであり波長よりも十分薄い。別途計測した中隔壁に沿った振動成分が、中隔壁に沿ってほぼ同じ速度で伝搬していることを合わせると、図5で伝搬している中隔壁の振動は、非対称モードのラム波でモデル化できる6)。
中隔壁の両側の右心室と左心室内腔の血液を考慮し、血液に浸けられた粘弾性板を伝搬するラム波でモデル化を行った6)。90Hzまでの周波数帯域で1要素フォークト(Voigt)モデルを導入し、ラーメ(Lame)の定数(λ、?)を複素数として扱う。生体の非圧縮性のために、体積弾性率λは、ずり弾性率?よりも103倍大きい。これらの条件を波動方程式に入れる6)。こうしてモデル化されたラム波の位相速度は、心室中隔壁のずり粘弾性率?一μ1+ico?2に依存する。
10.心筋粘弾性の推定
上述のモデル化に基づき、位相速度の分散性の計測値に近いラム波の位相速度の理論値を瞬時ごとに決定することによって、心室中隔壁のずり弾性率?iとずり粘性率?zを各時刻ごとに推定できる。得られたモデルの位相速度を図6(下)に実線で表わす。高い周波数ほど誤差は大きいが、70Hz以下では位相速度をほぼモデル化できることが分かる。
この結果、図6(下)の被験者に関するずり弾性率?iは24~30kPaであり、大動脈弁閉鎖時刻To周囲での変化は小さかった。一方、ずり粘性率?aは、この区間において400Pa・sから70Pa・sまで急激に減少していた。他の若い健常者4名に関しても同様な粘性の遷移が得られている6)。この区間において左心室内腔の血圧が120mmHgから数mmHgまで急激に減少しており、それが心筋を弛緩させ、粘性の変化に繋がったものと考えられる。
11.あとがき
本稿では、心音に対応する振動が心臓壁にあること、計測された振動パルスが心臓壁上を伝搬すること、その伝搬速度の周波数特性から心筋の粘弾性特性を推定できることを示した。これら振動パルスが自発的に発生し心臓壁を伝搬する現象は初めて見出された結果である。幾っかの幸運にも恵まれたが、周波数解析を適用できる十分な精度で心臓壁の振動波形の計測が可能になった点、しかも、数百点でほぼ同時に振動波形を計測できる点は、通常の超音波エコー装置、CT、MRI装置などでは得られない長所と言える。また、この方法によって電気的興奮の伝導によって生じる心臓壁の微小振動を観察できるという結果も得られており7)、疾患による組織の電気的な傷害などを多角的に検出できる可能性がある。
さらに、同じ計測手法を動脈硬化の組織性状の診断を目指して動脈壁の弾性率に関する断層像のイメージングにも適用した3)。従来の動脈病変の計測は、主として形態計測が中心で、粥腫病変に関する破裂の危険性を十分な精度で評価し得る計測法は未だに報告されていなかった。ここで紹介した計測法と組織分類法は、病変内部の物性などを非観」血的に測定し、組織同定を行う方法であり、高齢者や重篤な患、者に対して安全に繰り返し適用し得るものであり、今後、装置化や臨床応用が大いに期待されている。