2016年[ 技術開発研究助成 (開発研究) ] 成果報告 : 年報第30号

特定組織での遺伝子発現を非侵襲的かつリアルタイムで測定する方法の開発

研究責任者

遠藤 求

所属:京都大学大学院 生命科学研究科 統合生命科学専攻 助教

概要

1.まえがき

20 世紀後半、測定装置の性能が上がるにつれ生体の生理現象は分子レベルにまで解体され、 後には膨大な分子生物学的な知見が蓄積された。 これからの生物学は、得られた知見を統合・再生していくことが重要となる。細胞/分子レベルで明らかになりつつある知見をもとに上位の器官/組織レベルで生体を理解するためには、それぞれの組織の機能特異性(不均一性)を明らかにしたうえでモデルを構築する必要がある。しかし、生体内の特定の組織における分子動態を高い時空間分解能で測定することは難しく、個体全体を用いた解析や生体から切り離された培養細胞系を用いての解析が主流となっている。本研究では、植物の生物時計をモデル系とするものの、動物やヒトへの適用も見据え、高い時空間分解能で生体内組織/細胞の分子動態を定 量する汎用的な方法を開発することを目指し、測定装置の開発ならびに、それを用いた組織レベルでの概日リズムの測定を行った。

 

2.研究の背景

多くの生物は最適な季節に成長や生殖を行うために、日長を測る仕組みを獲得してきた。こうした反応は光周性とよばれ、光周性を説明するモデルとして外的符合モデル (external coincidence  model)が有力とされている。例えば長日植物であるシロイヌナズナでは、時計遺 伝子の発現ピークは日長に依存せず一定であり、長日条件では遺伝子発現と光刺激が重なること で下流にシグナルを伝え、逆に、短日条件では 遺伝子発現と光刺激は重ならないためシグナル を伝えない、とされている(図1上)。

(注:図1/PDFに記載)
図1 単純な外的符合モデルから予想されるリズムと測定されるリズム

 

しかし実際は、TOC1 や PRR3 などの一部の時計遺伝子は日長依存的に発現ピークが遷移するため 1)、単純な外的符号モデルは成り立たたない(図1下)。こうした現象を盛り込むために、システムバイオロジーの研究者らは、従来のモデルに比べてはるかに複雑なモデルを提唱するに至っていた 2)。

私たちはこれまでに、シロイヌナズナの日長刺激の受容体は葉の維管束で機能して花成を制御していることを明らかにしてきた 3)。また、生物時計の支配下にある光周性花成の実行遺伝子(CO FT )の発現は葉の維管束に限定されている 4)、5)。こうしたことは、外的符合モデルにおいて、日長刺激と生物時計の両シグナルの統合が葉の維管束で行われており、組織ごとに生物時計の機能が異なっている可能性を示唆するものである。そこで申請者は、生物時計機能の組織特異性を考慮にいれることでより直感的に理解しやすく正確な生物時計モデルを構築できるのではないかと考えた。

これまで植物の生物時計は細胞自律的であると漠然と考えられてきており 6)、組織特異的な生物時計の機能についてはほとんど考えてこられなかった。しかし、

① 花成などの実現には、個々の細胞が持つ概日リズムを個体レベルで統合する必要があること、

② ヒト・マウス・ハエなどでは、脳にある強大な生物時計の中枢(主要時計)と末梢臓器にある弱い時計(末梢時計)という形で生物時計機能の組織特異性が知られていること 7)、

③ 植物も動物と同様、器官間で概日リズムシグナルをやりとりしている可能性があること 8)、9)、

④ 少なくとも植物の地上部と根では生物時計の挙動が異なっていること 10)、

⑤ ある分子の発現パターンとその分子の機能が必要な器官/組織は必ずしも一致せず、申請者が明らかにした例も含めて、こうした例は決して珍しいものではないこと 3)、11)、12)、などか

ら、植物においても生物時計機能に器官/組織特異性が存在することが強く予想される。

動物の主要時計は外科的な手術により中枢を 切除・移植するといった実験によって発見され た 13)。しかし、植物は脳に対応する明確な中枢を持たず、特定の組織を外科的な方法で取り除 くことが困難である。また、周囲の影響から切り離された培養細胞系などでは組織/細胞間の相互作用は失われ、生命現象を生体内のコンテ クストで解析することは困難である。こうした 問題を解決するためには、生体内の分子動態を 高い時空間分解能で測定することが必要であり、このことによって植物における生物時計の組織 特異性の解析は大幅に進むと考えられた。

 

3.研究の独創性および類似研究との比較

これまで植物の生物時計研究は全ての細胞に普遍的なメカニズムを中心に解析が進められており、植物体全体を用いた解析がほとんどである。しかし、植物全体から RNA を抽出した時の大部分(70%以上)は葉肉細胞由来であり、維管束系や表皮の寄与はわずかに5-10%程度である。このことは、これまでの植物体全体を用いた解析では維管束系など重要な機能を持つ微小組織の遺伝子発現リズムは葉肉細胞のリズムに隠されてしまっていることを示している。最近になって、組織特異的な解析が今後の課題とされつつあるが 14)、15)、それを実現するための研究手法の開発は遅れており、特定の器官/組織に着目し生物時計の機能を評価した研究はわずか一例のみである 10)。

これまでにも、組織ごとの遺伝子発現を測定するための方法はいくつか報告があり、代表的なものとして、LCM (laser capture microdissection) や FACS (fluorescence-activated cell sorting) などを用いた組織/細胞の直接的単離法[16-18] が知られている。しかし、こうした方法による組織/細胞単離は煩雑であり単離に時間がかかるために、時々刻々と変化する時計遺伝子の発現リズムを正確に測定できず、また、測定点を増やすことが困難という問題があった。時計遺伝子の発現リズム測定によく用いられているルシフェラーゼ(LUC)を用いた非侵襲的な測定方法では、さまざまな組織/細胞で発現しているような時計遺伝子については特定の組織/細胞(特に維管束系のような深部組織)に由来する 発光リズムのみを測定することが困難であった。

私たちはすでに簡便・高効率の組織単離法を独自に開発しており、この方法を用いることで、本研究で開発をした特定組織での時計遺伝子プロモーター活性の測定系や組織特異的な時計遺伝子機能阻害株の評価を効率的に行うことができる。特に、split luciferase の相互作用検出以外での応用や、時計遺伝子の組織特異的な過剰発現による組織特異的な機能阻害など、同様の手法を用いた研究はこれまでに報告がなく、極めて独創的であると考えている。

 

4.結果1  シロイヌナズナの概日時計は組織特異的に機能し、階層構造を持つ

(注:図2/PDFに記載)

図2 新しい組織単離方法

 

私たちは、組織特異的な概日時計の役割を調べるために、植物の葉を構成している3 つの組織を高い次空間分解能で単離する方法の開発に着手した。超音波処理と酵素処理を併せて行うことで、30 分以内という極めて短時間のうちに、葉を構成する葉肉・維管束・表皮をそれぞれ90%以上の純度で単離することに成功した(図2)。この方法を用いて、葉全体のRNA 量を100%とした時の各組織の寄与率を見積もったところ、葉肉が77%、維管束が7%、表皮が15%となった。(図3下)。このことは、これまで植物において個体レベルで測定されていた概日リズムは、ほぼ葉肉おけるリズムであり、維管束のような微小だが重要な組織における概日リズムは隠されてしまっていたことを示す。そこで、維管束における概日リズムは葉全体(もしくは葉肉)で見られるリズムと同じであるかどうかを検証するために、葉全体・葉肉・維管束を4時間毎に2 日間に渡って単離し、マイクロアレイ解析を行った(図3上)。

(注:図3/PDFに記載)

振動している全遺伝子の発現量をプロットしたところ、維管束での発現が平均より高い遺伝子を青色で、逆に平均より低い遺伝子を緑で塗り分けると、維管束で発現が高い遺伝子は葉肉では発現が低く、その反対に維管束で発現が低かった遺伝子は葉肉では発現が高かった。さらに、葉肉の高い寄与度を反映して、葉全体と葉肉の発現プロファイルは似ていた。以上のことから、維管束の概日時計は葉肉とは異なっている可能性が示唆された。

このことをさらに確かめるために、先ほどの解析を概日時計遺伝子に絞って行った。植物の概日時計は朝方に発現する遺伝子で構成されている Morning loop と、夕方に発現する遺伝子で構成されている Evening loop、そしてそれらをつなぐ Core loop といった多重のフィードバックループで構成されている。ここに、図3で得た遺伝子発現レベルの情報を載せてみると、Morning loop を構成している遺伝子は葉肉で高い発現を示しており、Evening loop を構成している遺伝子は維管束で高い発現を示す傾向があることが示された。このことは、また、葉肉と維管束で概日時計システムが異なることを示唆しており、これまで、個体レベルで概日リズムを測定してきたあり方を再考させる結果となった。

(注:図4/PDFに記載)
図4 葉肉と維管束では概日時計の構成が異なっている。

こうしたことを、さらに別の方法で確かめるために、本助成を利用しTissue-specificluciferase assay(TSLA)法と名づけた新規手法を開発した。通常、時計遺伝子は全ての組織で発現しているため、特定の組織での発光(プロモーター活性)を定量することは困難であった。特に維管束は植物の深部に埋め込まれており、葉肉や表皮細胞の下にあるため、「維管束部分」から検出される発光は維管束だけでなく、表皮・葉肉由来の発光を含むものであった(図5)。
こうした問題を解決するために、私たちはTSLA 法を開発した。TSLA 法ではルシフェ―ラーゼ(LUC)をN 末端とC 末端に分割し

(注:図5/PDFに記載)

図5 これまでのプロモーター::
ルシフェ―ラーゼ・アッセイ

 

(nLUC  とcLUC)、それらに動物のガン源遺伝子として有名なJun とFos の部分配列を改変した c-Jun bZIP と A-Fos を融合させる。これらは特異的にヘテロダイマーを形成する。そしてこれら融合遺伝子を組織特異的プロモーターおよび時計プロモーターの下流で発現させる。時空間的に nLUC と cLUC が共存する時のみ、これらは再構成され基質を分解することで発光が検出される。すなわち、特定の組織および時間でのみ発光が観察されることが期待される(図6)。

(注:図6/PDFに記載)

図6 TSLA 法の概要

 

こうした方法が、実際に機能するかどうかを確かめるため、維管束特異的プロモーター(SUC2) および葉肉特異的プロモーター(CAB3)の制御下で時計遺伝子(TOC1)のリズムを見ることを試みた。
TOC1 自身のプロモーター活性は葉肉および維管束(そして表皮)で見られている一方で、維管束でのTOC1プロモーター活性を測定する系統(TOC1/SUC2-TSLA)では維管束でのみの発光が検出された。また、同様に、葉肉でのTOC1 プロモーター活性を測定する系統(TOC1/CAB3-TSLA)では葉肉でのみの発光が検出された(維管束はうっすらと抜けている)(図7)。

(注:図7/PDFに記載)

図7 維管束および葉肉特異的な発光パターン

 

以上のことから、少なくとも空間的な発現パターンに関してはTSLA法がうまく機能していることが確認された。次に、この方法で24 時間周期の概日リズムが正しく計測できるかどうかを検討した。明暗条件下でリズム付けを行った後、連続明条件下でTOC1/SUC2-TSLA およびTOC1/CAB3-TSLAの発光リズムを測定した(図8)。いずれの場合でも明確な24 時間周期のリズムが測定され、TSLA 法がうまく機能していることが示唆されたが、面白いことに、維管束におけるTOC1 の振動の位相と葉肉におけるそれとは大きく異なっていることが明らかとなった。このことは、マイクロアレイ解析の結果を支持するものであり、葉肉と維管束における概日時計システムが異なっていることを示唆している。

(注:図8/PDFに記載)

図8 葉肉と維管束の概日時計は異なる位相を持つ

 

動物では、中枢時計と末梢時計は今回みられたように、位相が異なり、また連続明条件下でのリズムの継続性が異なっていることが示唆されている。そこで、植物にも同様の仕組みがある可能性を検討するために、連続明条件下でのリズムの継続性を葉全体と維管束で比較した(図9)。

(注:図9/PDFに記載)

図9 維管束の時計遺伝子の振動は頑強である

 

葉全体では、明暗条件下で明確な24 時間周期のリズムが観察されたのに対して、連続明条件下への以降でそのリズムの振幅は急速に失われ、一週間後にはほとんどリズムは観察されなかった。一方で、維管束では明暗条件下での明確な24 時間周期のリズムはもちろんのこと、そのリズムは連続明条件下への以降後も観察され、一週間後でもリズムは継続していた。こうした安定した概日リズムは哺乳類の脳(視交叉上核)に存在する中枢時計で見られる現象であったことから、私たちは維管束こそが、植物の脳に相当する組織ではないかと仮説を立てた。
この仮説に従うと、維管束の概日時計は他の組織に存在する概日時計より上位に位置し、他の組織の概日時計に影響を与えることができることになる。このことを確かめるために、組織特異的に概日時計機能を阻害した時に、他の組織で概日リズムがどうなるかを調べることにした。図4で示しているように、植物の概日時計は複雑なフィードバックループを形成している。
Core loop 部分だけを抜き出してきたものが図10 上である。このように、CCA1 とTOC1 は互いに抑制の関係にあるため、CCA1 の過剰発現はTOC1のリズムを失わせることが既に報告されていた(図10 下)。

(注:図10/PDFに記載)

図10 時計遺伝子の過剰発現は時計機能を阻害する。

 

私たちはこのことを利用して、維管束特異的プロモーター(SUC2)および葉肉特異的プロモーター(CAB3)の制御下で時計遺伝子(CCA1)を過剰発現させることで、組織特異的に概日リ
ズムを阻害した系統を作出した。維管束の時計機能を阻害した系統におけるTOC1の発現をコントロールと比較すると、維管束の時計機能の阻害により、TOC1のリズムが急速に失われることが明らかとなった(図11)。ここで注目すべきは、図3で示したように、維管束は全体の5-10%を占めているに過ぎないにもかかわらず、維管束の時計機能の阻害の影響が葉全体(おそらく葉肉)にも及んでいることである。このことは、維管束の概日時計が葉肉の概日時計を制御している可能性を強く示唆するものであった。

(注:図11/PDFに記載)

図11 維管束の時計機能の阻害は葉全体に影響を与える。

このことをより詳細に明らかにするために、私たちは維管束の時計機能を阻害した系統および葉肉の時計機能を阻害した系統を用いて、葉全体・葉肉・維管束における概日リズムを解析
した。野生型では、葉全体、葉肉、維管束いずれの組織でも明確な振動が観察される条件において、葉肉の時計機能を阻害した系統(CAB3::CCA1)では、葉肉のリズムおよび葉全体のリズムが消失していた(図12)。葉全体のうち約8割が葉肉細胞であることを考えると

(注:図12/PDFに記載)

図12 葉肉の時計は維管束の時計を制御できない

これは妥当な結果であった。その一方で、維管束の概日リズムは野生型と同様であり、葉肉の概日時計機能を阻害しても維管束の概日時計にはほとんど影響を与えないことが示された。
その一方で、維管束の時計機能を阻害した系統(SUC2::CCA1)では、維管束のリズムはもちろんのこと、葉肉のリズムおよび葉全体のリズムまでもが消失していた(図12)。
こうした結果は維管束の時計機能の阻害が維管束のみならず隣接する葉肉の時計機能にまで影響を及ぼしていることを示すものであり、植物において初めて階層的な概日時計制御の存在
を明らかにしNature誌に報告した(図13)。

(注:図13/PDFに記載)

図13 植物の概日時計は階層構造を持つ

 

5.結果2 植物の概日時計は非集中型のネットワークを形成している
ではこうした維管束の概日時計は植物のどういった生理応答を制御しているのだろうか。私たちは植物の概日時計によって制御されている代表的な生理応答の一つである光周性花成(季
節に応じた花芽形成)について調べた(図14)。

(注:図14/PDFに記載)

図14 維管束の時計が光周性花生を制御する

 

図10 と同様の戦略で、さまざまな組織で時計機能を阻害した系統を作出し、花成誘導条件である長日条件における花成時期を調べた。その結果、自身のプロモーターを用いて、個体全体で時計機能を阻害した系統(CCA1::CCA1)および維管束特異的プロモーターにより維管束の時計機能を阻害した系統(SUC2::CCA1)においてのみ、顕著な遅咲き表現型が見られ、正しい季節の認識が出来なくなっていることを見出した。このことから、維管束の概日時計は光周性花成を制御していることが明らかとなった。では、維管束の概日時計は他の時計制御の生理応答も制御しているのだろうか。言い換えると、全ての生理応答は維管束の時計によって制御されており、動物の脳のような機能を持っているのだろうか。動物(特に哺乳類)の場合、概日時計は脳を中心とした集中型のネットワークを形成していると考えられている(図15)。植物の維管束が脳のような機能をもっているならば(全ての生理応答が維管束の概日時計によって支配されているならば)、植物の概日時計のネットワーク構造もまた集中型であると言える。また、維管束の時計だけでは説明できない場合は非集中型であると言える。私たちは、すでに特定の組織の機能阻害によって表現型が見られることを確認しているため、分散型の制御ネットワークを考える必要はない。なぜならば、これは階層性をもたないネットワーク構造であるため、特定の組織の機能阻害は表現型に結びつかないはずである。
(注:図15/PDFに記載)

図15 植物の概日時計のネットワーク構造は集中型か?

 

私たちは、植物の概日時計ネットワークが集中型なのか非集中型なのかを明らかにするために、もう一つの代表的な時計制御の応答である細胞伸長に着目した。
面白いことに、花成に顕著な表現型をもつSUC2::CCA1 では胚軸(茎)伸長にはほとんど影響が見られず、表皮の時計機能を阻害した2系統(CER6::CCA1)においてCCA1::CCA1と同程度の胚軸伸長制御が観察された(図16)。

(注:図16/PDFに記載)

図16 表皮の時計が胚軸伸長を制御する

 

このことは、表皮の時計機能と維管束の時計機能が異なっていることを示しており、植物の概日時計ネットワークが非集中型であることを強く示唆する結果であった。さらに、こうした細胞伸長制御は、いわゆる常温と呼ばれる範囲で顕著に観察できることから、表皮の概日時計は温度刺激を処理することによって細胞伸長制御をしていることが明らかとなった(図16 下および図17)。

(注:図17/PDFに記載)

図17 表皮の時計が温度依存的な胚軸伸長を制御する

 

こうした現象は胚軸伸長制御だけでなく、子葉の展開(図18)や葉柄伸長(図19)など幅広い細胞伸長制御に共通して見られることが明らかとなった。

 

(注:図18/PDFに記載)

図18 表皮の時計は子葉面積を制御する

(注:図19/PDFに記載)

図19 表皮の時計は葉柄伸長を制御する

 

以上の結果より、植物の概日時計は組織を単位として独立に機能し、非集中型のネットワーク構造を持っていることを明らかにし、NaturePlants 誌に報告した。

 

6.まとめ
これまで、まとめてあつかっていた植物個体を組織に分けることで、そこには組織レベルのさまざまな制御が存在することが見出された。こうした解析は概日時計だけでなく、今後さま
ざまな研究分野に応用可能であると考えられ、今回開発した技術および考え方は今後の研究に大きな影響を与えることになると思われ、今回の研究の意義は大きい。