2014年[ 科学教育振興助成 ] 成果報告

火星探査プロジェクトの立案

実施担当者

茂木幹雄

所属:小山高等学校 教諭

概要

1.はじめに
 本校、数理科学科2年生を対象とし、神奈川工科大学に協力を得て、『火星探査プロジェクトの立案』と題し、プログラムを行った。火星に行くための方法・探査技術を題材とし、生徒の問題解決能力や自発的・創造的な学習態度を育てることを目的とした。


2.実施内容
①7月24日(小山高校)事前説明、日程の確認。
②7月30日(神奈川工科大学)
・航空宇宙工学についての講義(大久保先生)大久保先生より、ロケットの歴史、打ち上げる衛星等の種類・科学的意義などについて講義を受ける。
・フライトシミュレーター実習(武田先生)フライトシミュレーターを使用しての航空機操作技術の実習を受ける。武田先生は日本航空のパイロットであった経歴を持ち、実際の操縦で気をつけることを細かく教えていただくことができた。
・モデルロケット作製(中根先生、水野先生)先生の指示に従い、モデルロケット(アルファ3)を作製する。
③8月5日(神奈川工科大学)
・ロケット工学講義(武居先生)
武居先生よりロケットとその他の航空機、自動車との相違点の説明、ロケットが飛翔する原理、人工衛星が地球を周回する原理などについて講義を受ける。
・モデルロケット発射実習(中根先生、水野先生)
7月30日に作製したモデルロケットの発射実習を行う。高度を計測できる自作装臨を持参し、モデルロケットの高度を測定し、そこに達するまでに要した時間よりモデルロケットの速度を求めた。この結果をもとに、大気圏までロケットが達するまでの初速を求めた。
④8月2l日(小山高校)
・センシング技術講義(兵頭先生)
兵頭先生よりロボットの歴史、原理、現在の最新技術について講義を受ける。ロボットとは、動きを自動で制御できるように様々なセンサーが組み込まれており、その組み合わせがロボットの性能を決めることになるとのことであった。
・プログラミング技術実習(兵頭先生)
兵頭先生よりマイコンロボット(ビュートミニARMエンコーダーブザー搭載版)を用いてプログラミング技術の説明を受ける。モデルロボットにプログラミングを行い、紙の上に書いた線上を移動させる走行試験を行った。このとき全ての動作をプログラミングするのではなく、センサーと組み合わせることで制御ができ、スムーズに移動ができることを学んだ。
⑤12月9日(小山高校)
・課題研究発表会での成果発表
神奈川工科大、小山高校で行った講義、実習をもとに、火星ヘロケットを飛ばすために必要な条件、火星での探査を行うために必要な機能などをまとめ、数理科学科課題研究会で発表を行った。


3.まとめ
 本校の数理科学科の生徒は、自然科学分野への興味関心が非常に高い。今回、本講座で大学に赴き、通常では触ることのできない最先端の機器での実習や研究者の講義を聴く機会が得られたことは、自然科学系の進路を考えている彼らにとって大きな財産となったと思う。
 実習においては、モデルロケットを自ら飛ばし、自作装置で高度を測定したり、マイコンロボットにプログラミングをして、実際に既定の動きをさせてみたりと、高校の授業ではできない体験をすることができた。そして、今回の実習はあくまでモデルであるが、その基本構造や考え方は、実際のロケットやロボットに応用されていることをふまえ、実際のロケットや探査ロボットを考えることができた。
 現在の科学技術の進歩は日進月歩である。そのため、今後の研究者にこれまで以上に問題解決能力が必要とされる。本講座を通し、生徒たちは課題の解決を図る能力や態度が育まれたと考える。