2014年[ 科学教育振興助成 ] 成果報告

清風中学・高校 生物部の活動

実施担当者

池永 明史

所属:清風高等学校・中学校 教諭

概要

1.ニッポンバラタナゴの保護
 清風高等学校・中学の生物部では、絶滅危惧種に指定されているニッポンバラタナゴの保護活動を行っています。
 ニッポンバラタナゴはドブガイという淡水の二枚貝に産卵をするという特殊な繁殖方法をとります。その産卵床となるドブガイは、幼生期(グロキディウム)にヨシノボリのヒレなどに寄生し、成長と共に、自ら離れ、着底します。つまり、ニッポンバラタナゴを保護するには、ドブガイの保護が必要となり、そのためには、ヨシノボリの保護も必要です。そのため、本校の生物部では、ニッポンバラタナゴだけではなく、ドブガイを含めた生態系そのものの保全活動を行っています。


2.研究の内容
[プランクトンの採集]
1.保護池の定位置からプランクトンネットにしるしをつけて2mの距離にまでプランクトンネットを投げます。右の写真が実際に保護池でプランクトンネットを投げようとしている様子です。

2.プランクトンネットを引き、採集した水を容器の中に入れます。右の写真はアルコール固定をしている様子です。アルコール固定するものと、しないものにわけて、採集します。未固定のものは、その日に観察します(数の測定はせず、プランクトンの動画や写真などを撮ります)。ケイソウの、浮力を使う、グライデイングとよばれる動きを観察したりしています。

3.後日、学校で容器中の水から1mLを取りシャーレに入れて、顕微鏡で観察し、1mL中のすべてのプランクトンを数えます。計測は2回行い、その平均をとり、データをパソコンに入力してグラフなどを作成し、考察しました。


3.研究結果
[RE-1(保護池)プランクトン数の調査結果]2013年1月~2014年10月までのデータ

(注:表/PDFに記載)


4.今後の予定
 私たちは今後、2つ行っていきたいことがあります。1つ目はRE-1以外のニッポンバラタナゴの保護池である植田池と清水池でも、RE-1と同じような調査を行っていくことです。
 また、ニッポンバラタナゴが産卵するドブガイは生物部の過去の研究や文献によって珪藻を食性としていることが報告されています。2つ目は、珪藻を増やし、ドブガイの成長を促す方法を研究していくことです。現在のところ、春・夏ごろに増えることは調査結果で分かっています。珪藻を増やすことができればドブガイを飼育、成長させることができます。それを保護池だけでなく、学校の水槽の中で繁殖させる方法を発見したいです。そうすることによって、ニッポンバラタナゴの保護につなげていきたいと考えています。