2015年[ 科学教育振興助成 ] 成果報告

惑星探査プロジェクトの立案

実施担当者

高森 輝和

所属:小山高等学校 教諭

概要

1.はじめに
 本校、数理科学科2年生を対象とし、神奈川工科大学に協力を得て、『惑星探査プロジェクトの立案』と題し、プログラムを行った。惑星に行くための方法・探査技術を題材とし、生徒の問題解決能力や自発的・創造的な学習態度を育てることを目的とした。


2.実施内容
①7月21日(小山高校)事前説明、日程の確認。
②7月30日(神奈川工科大学)
・講義「航空宇宙工学」(大久保先生)
 ロケットの歴史、打ち上げる衛星等の種類・科学的意義などについて講義を受ける。
・モデルロケット工学の基礎(中根先生)
 推進原理、空気抵抗、重心と圧力中心などについての講義を受ける。
・モデルロケット作製(中根先生、水野先生)
 先生の指導のもと、モデルロケット(アルファ3)を作製する。
③8月6日(小山高校)
・実習「モデルロケットの打ち上げ実験」(中根先生、水野先生)
 7月30日に作製したモデルロケットの打ち上げ実験を行う。モデルロケットの高度を測定し、そこに達するまでに要した時間よりモデルロケットの速度を求めた。その後、パソコン室で表計算ソフトを使用してロケットの高度や軌道を算出しました。
・講義「打ち上げ時の高度予測・軌道予測」(中根先生)
 運動方程式を用いた加速度・速度・高度の算出方法を学びました。
④8月29日(小山高校)
・講義「センサ技術」(山崎先生)
 ロボットの仕組みとセンサ技術について学習しました。ロボットが人のようにはたらくための機能と赤外線センサやその検知の仕組みについて講義を受けました。
・実習「プログラミングの組み込み」(山崎先生)
 マイコンロボット(ビュートミニARM)を用いてプログラミング技術の説明を受ける。モデルロボットにプログラミングを行い、紙の上に書いた線上を移動させる走行試験を行った。このとき全ての動作をプログラミングするのではなく、センサと組み合わせることで制御ができ、スムーズに移動ができることを学んだ。
⑤12月15日(小山高校)
・課題研究発表会での成果発表
神奈川工科大、小山高校で行った講義、実習をもとに、ロケットを飛ばすために必要な条件、惑星探査を行うために必要な機能などをまとめ、数理科学科課題研究会で発表を行った。


3.まとめ
 本校の数理科学科の生徒は、自然科学分野への興味関心が非常に高い。今回、本講座で大学に赴き、通常では触ることのできない最先端の機器での実習や研究者の講義を聴く機会が得られたことは、自然科学系の進路を考えている彼らにとって大きな財産となったと思う。
 実習においては、モデルロケットを自ら飛ばし、自作装置で高度を測定したり、マイコンロボットにプログラミングをして、実際に既定の動きをさせてみたりと、高校の授業ではできない体験をすることができた。そして、今回の実習はあくまでモデルであるが、その基本構造や考え方は、実際のロケットやロボットに応用されていることをふまえ、実際のロケットや探査ロボットを考えることができた。
 現在の科学技術の進歩は日進月歩である。そのため、今後の研究者にこれまで以上に問題解決能力が必要とされる。本講座を通し、生徒たちは課題の解決を図る能力や態度が育まれたと考える。