2006年[ 年報 ] : 年報20号

年報20号

中谷電子計測技術振興財団

概要

目次

設立の趣意
役員・評議員および事業の概要
三輪前理事長の逝去を悼む
平成17年度事業概要
Ⅰ 技術開発に対する助成事業
技術開発助成金贈呈式
Ⅱ 技術交流に関する支援事業
Ⅲ 電子計測技術に関する情報の収集及び提供
平成15年度(第20回)技術開発助成成果報告
平成17年度技術交流助成成果報告
技術開発に対する助成状況
技術交流に関する助成状況


設立の趣意

 わが国経済社会の高度化は、1970年代以降急速に進展しています。これは、わが国の唯一の資源でもある恵まれた頭脳資源を、十分に活用することで達成されたものです。特にコンピュータを始めとするエレクトロニクス技術の発展が重要な役割を果たしてきました。
 これらのエレクトロニクス技術の発展は、優れた電子計測技術の基盤の確立が無くしてはありえません。今後わが国のエレクトロニクス技術の一層の発展を実現する上で、電子計測技術基盤の一層の強化が大切であります。電子計測機器がエレクトロニクスのマザー・ツールであるといわれる所以でもあります。
 政府におかれましても、その重要性を十分認識され、電子計測技術基盤の確立のためいろいろな施策を展開されております。
 このような客観的諸情勢から東亞医用電子株式会社(現シスメックス株式会社)の創立者、故中谷太郎初代理事長は、電子計測技術の発展を推進し、産業基盤の確立に貢献することを強く念願され、昭和59年4月に財団法人「中谷電子計測技術振興財団」が設立されました。
 当財団は、技術開発・技術交流の推進、技術動向等の調査研究等を行うことにより、電子計測技術の基盤の確立に微力をつくす所存でございます。このような趣旨をご理解の上、当財団にご指導、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。


設立年月日 昭和59年4月24日
基金 6億2千万円

役員
理事長
菅野剛史 財団法人浜松市医療公社理事長 浜松医科大学名誉教授

専務理事
家次恒 シスメックス株式会社代表取締役社長

理事
浅野茂隆 早稲田大学理工学術院教授 東京大学名誉教授
輕部征夫 東京工科大学副学長 東京大学名誉教授
熊谷俊一神戸大学大学院医学系研究科教授
中谷正 シスメックス株式会社取締役
村上浩一 当財団事務局長

監事
秋山純一 多摩大学・同大学院赦授(公認会計士)
田中照明 ASGマネジメント株式会社常務取締役(公認会計士)


評議員
川越裕也 東大阪市立中央病院名誉院長
藤井克彦 大阪大学名誉教授
斎藤正男 東京大学名誉教授
八幡義人 川崎医療短期大学教授 川崎医科大学名誉教授
戸川達男 早稲田大学人間科学部教授
渡辺清明 NPO法人東京臨床検査医学センター所長 慶応義塾大学名誉教授
雪本賢一 シスメックス株式会社取締役・専務執行役員
和歌光雄 シスメックス株式会社取締役・常務執行役員


事業の概要
電子計測技術の発展を推進し,産業基盤の確立を図ることにより,わが国経済社会の発展および国民生活の向上に資することを目的として,次の事業を行います。
■電子計測技術分野における技術開発に対する助成
電子計測技術分野における先導的技術閲発活動を促進するため、これに助成します。
■電子計測技術分野における技術動向等の調査研究に対する助成
電子計測技術分野の実態および種々の間題についての調査研究に対して助成します。
■電子計測技術分野における技術交流に関する支援
電子計測技術分野における技術の交流を推進するため、内外の研究者等の交流に対する助成、シンポジウムの開催等を行います。
■電子計測技術分野に閉する情報の収集及び提供
電子計測技術に関する情報文献、資料等を収集整理し、その広汎な利用を図るための種々の活動をを行います。

特定公益増進法人 当財団は平成16年11月に経済産業大臣より「特定公益増進法人」の認定を受けました。


三輪史朗先生への追悼
財団法人中谷電子計測技術振興財団
理事長 菅野剛史

 三輪先生がお亡くなりになったことは、残された我々にとってとても残念なことであります。これは甘えかもしれませんが、先生の傘の下でなら、という気持ちが残ることは事実であります。しかし、中谷財団の将来は、我々が全力を尽くしますので、心安らかにお休みいただきたいと思います。
 三輪先生のお顔にはいつも笑顔が見えておられた。というのが先生の第一の印象でした。でも、もしかしたら、お若いときには怖い先生であったのかもしれません。私が、初めてお会いしたのは、昭和45年に私が慶応大学病院の中央臨床検査部に赴任して、虎ノ門病院へ(故)北村元仕先生(臨床化学の第一人者)にご挨拶にお尋ねしたときのことであったと思います。北村先生のご紹介で三輪先生に初めてお会いしたときに、先生のご専門は「生化学」でしたね。とおっしゃられて、でもこれからは検査室で働いているのだという気持ちでどうぞご利用くださいとおっしゃられ、「血液細胞アトラス」という御本を戴きました。先生は、「この本は医学の領域で一番安い本であると自負しているのですよ。」と話され、「これだけの写真と図を入れたらば、本の値段は倍以上すると考えても良いようです。」と結ばれました。形態学が苦手であって生化学の領域に進んだ私にとっては、この本は大変貴重な本となりました。私は、この本を本棚には置きませんでした。
そっと机の引き出しに入れて必要のあるときに取り出しては読んでおりました。私のアキレス腱を知られたくなかっただけでなく、今考えるに、先生のお人柄を独占したい気持ちがあったような気がしてなりません。
 この間、先生は山口大学医学部に赴任され、私は浜松医科大学に赴任するということになりますが、酵素異常の班会議などでは、ご一緒にご指導いただきました。
 先生と北村先生は乳酸脱水素酵素、Hサブユニット欠損症という症例を見出され、赤血球の代謝異常を解析しておられました。何が偶然か、私は同じ乳酸脱水素酵素、Mサブユニット欠損症を浜松で見出すことになりまして、筋肉での代謝異常とミオグロビン尿症出現の機序を解明する際に、先生方のお仕事を非常に参考にさせていただいたのであります。また、同じサブユニット欠損症でもH型は無症状、M型はミオグロビン尿症を繰り返した場合には重篤な腎障害に陥るという違いが解明できたのであります。三輪先生からは、偶然とはいえ「同じ仲間で同じような症例に始めて遭遇するのは稀かもしれませんね。」と話しかけられ非常に嬉しかったことが記憶に鮮明です。
 重責ですが、先生のご遺志を引継ぎ懸命に努力することを誓います。先生の心置きなくお休みになられますことを祈念いたしまして先生への餞にしたいと思います。


平成17年度事業概要
 我が国の経済は、ようやく長い低迷状態から離脱しつつありますが、社会の高齢化が急速に進展する中で、過去の経済成長を支えた団塊世代の退職という2007年問題が提起されるなど、多くの課題が残されております。このような状況を打開するため、経済社会構造の改革が求められ、また新たな先導的産業を創出するための科学技術の促進は、ますますその重要性が増しています。中でも、各種産業の共通的基盤技術である電子計測技術の促進は大変重要であります。
 このため、財団法人中谷電子計測技術振興財団は、創立以来、電子計測技術分野における先導的技術開発、技術の交流等を促進するための助成事業、支援事業等を実施してきており、平成17年度においても次の諸事業を実施しました。

I. 技術開発に対する助成事業
 電子計測技術は共通的基盤技術であって、先導的技術開発を促進することは極めて重要であります。
その電子計測技術に対する技術開発助成事業は、当財団の中核事業であり、本年度もこの事業に力点を置いて実施しました。

1. 募集
 電子計測技術は極めて広汎な分野に亘りますが、健康で明るい人間社会を築くために重要な役割を果たすと考えられる技術開発分野として、理・工学と医学・生物学の境界領域にあり、学際的研究として社会的ニーズが高まっております「生体に関する電子計測技術」を対象研究課題として、大学およびこれに準ずる研究機関に対して助成対象研究テーマの募集を行いました。また、前年度と同様、文書送付により募集案内を行ったほか、当財団のホームページに募集案内を掲載するなど、広範な方々へ募集内容が周知されるよう努めました。

2. 審査
 財団法人中谷電子計測技術振興財団内に設置した審査委員会(鈴木良次委員長他7名で構成)の委員により、各大学等から応募のあった38件(開発研究31件、奨励研究7件)の研究テーマに対して、公正にして厳密なる審査を実施し、電子計測技術の先導的技術開発に寄与するものと考えられる13件(開発研究9件、奨励研究4件)を選出しました。

3. 技術開発研究助成金の贈呈式
 審査委員会において選出された研究テーマについて、次頁の13名の研究者に対して、平成18年2月23日(木)世界貿易センタービル浜松町東京會舘において技術開発助成金(総額2,000万円)の贈呈式を行うとともに、各研究者による研究計画内容の発表を実施しました。


第22回(平成17年度)技術開発助成金贈呈者

開発研究助成
(注:表/PDFに記載)

奨励研究助成
(注:表/PDFに記載)


技術開発助成金贈呈式
(注:写真/PDFに記載)


贈呈書の授与
(注:写真/PDFに記載)


研究計画の発表
(注:写真/PDFに記載)


記念懇親会
(注:写真/PDFに記載)


II 調査研究に対する助成事業
 近年におけるナノテクノロジーやバイオテクノロジーなどの発展に伴って、技術開発研究を行う場合に関係する学術領域は益々複雑多様化しつつあり、内外における研究者の技術交流を推進する重要性が増しております。平成17年度は、技術交流に関して以下の事業について助成を行いました。

1.派遣
(注:表/PDFに記載)

2.招聘
(注:表/PDFに記載)


平成15年度(第20回)
技術開発助成研究成果報告

1.網血小板判定による血小板減少症の鑑別(三重大学 和田英夫)
2.周波数コム発生による光コヒーレンス・トモグラフィの研究(東京農工大学 黒川隆志)
3.光駆動マイクロ流体制御素子の開発とバイオチップ応用(横浜国立大学大学院 丸尾昭二)
4.エコートラッキングによる超音波定量診断法の骨癒合判定への応用に関する基礎的研究(東京大学 大西五三男)
5.表面プラズモン共鳴のためのリン酸カルシウムおよび各種金属センサーの開発(岡山大学大学院 吉田靖弘)
6.多光子励起型3次元超高速分光計測システムの開発(大阪市立大学大学院 橋本秀樹)
7.高速超音波3次元動態計測用演算システム(山形大学 田村安孝)
8.センサー機能を付加した人工弁の開発(東京大学大学院 望月修一)
9.機能分散型健康増進支援システムのためのウエアラブル生体情報計測・制御ユニットの開発(新潟大学大学院 木竜徹)
10.MEMS技術を用いた低侵襲組織診断のためのMRS用マイクロプローブの開発(山口大学 南和幸)


技術開発に対する助成状況(金額単位:万円)
第1回(昭和59年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第2回(昭和60年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第3回(昭和61年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第4回(昭和62年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第5回(昭和63年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第6回(平成元年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第7回(平成2年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第8回(平成3年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第9回(平成4年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第10回(平成5年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第11回(平成6年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第12回(平成7年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第13回(平成8年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第14回(平成9年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第15回(平成10年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第16回(平成11年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第17回(平成12年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第18回(平成13年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第19回(平成14年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第20回(平成15年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)

第21回(平成16年度)技術開発助成対象
(注:表/PDFに記載)


年度 贈呈式年月日 助成件数 助成金総額
昭和59年度 昭和60年2月28日 6件 1,600万円
昭和60年度 昭和61年2月25日 9件 2,100万円
昭和61年度 昭和62年2月27日 9件 2,050万円
昭和62年度 昭和63年2月26日 9件 1,950万円
昭和63年度 平成元年3月10日 8件 1,880万円
平成元年度 平成2年2月23日 10件 2,110万円
平成2年度 平成3年2月22日 10件 2,010万円
平成3年度 平成4年2月28日 12件 2,430万円
平成4年度 平成5年2月26日 10件 1,930万円
平成5年度 平成6年2月25日 11件 2,100万円
平成6年度 平成7年3月24日 11件 2,160万円
平成7年度 平成8年2月23日 9件 1,820万円
平成8年度 平成9年2月28日 10件 1,920万円
平成9年度 平成10年2月27日 10件 1,670万円
平成10年度 平成11年2月26日 10件 1,700万円
平成11年度 平成12年2月25日 10件 1,780万円
平成12年度 平成13年2月23日 9件 1,800万円
平成13年度 平成14年2月22日 11件 1,980万円
平成14年度 平成15年2月21日 10件 1,970万円
平成15年度 平成16年2月27日 10件 2,000万円
平成16年度 平成17年2月25日 10件 2,000万円
平成17年度 平成18年2月23日 13件 2,000万円
累計 219件 42,960万円


技術交流に関する助成状況
1.派遣
昭和60年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

昭和61年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

昭和62年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

昭和63年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成元年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成2年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成3年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成4年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成5年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成6年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成7年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成8年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成9年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成10年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成11年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成12年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成13年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成14年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成15年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成16年度技術交流(派遣)助成対象
(注:表/PDFに記載)

2. 招聘
昭和60年度技術交流(招聘)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成12年度技術交流(招聘)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成13年度技術交流(招聘)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成14年度技術交流(招聘)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成16年度技術交流(招聘)助成対象
(注:表/PDFに記載)

3. 会議等
昭和62年度技術交流(会議等)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成2年度技術交流(会議等)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成13年度技術交流(会議等)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成14年度技術交流(会議等)助成対象
(注:表/PDFに記載)

平成15年度技術交流(会議等)助成対象
(注:表/PDFに記載)