2000年[ 年報 ] : 年報14号

年報14号

中谷電子計測技術振興財団

概要

目次

設立の趣意
役員・評議会および事業の概要
内藤先生追悼記
大森俊一元審査員追悼文
I. 技術開発に対する助成事業
技術開発研究助成金贈呈式の開催状況
II. 技術交流に関する支援事業
平成9年度(第14回)技術開発助成研究成果報告
平成11年度技術交流助成成果報告
技術開発に関する研究助成状況
技術交流に関する助成状況


設立の趣意

 わが国経済社会の高度化は,1970年代以降急速に進展しています。これは,わが国の唯一の資源でもある恵まれた頭脳資源を,十分に活用することで達成されたものです。特にコンピュータを始めとするエレクトロニクス技術の発展が重要な役割を果たしてきました。
 これらのエレクトロニクス技術の発展は,優れた電子計測技術の基盤の確立か無くしてはありえません。今後わが国のエレクトロニクス技術の一層の発展を実現する上で,電子計測技術基盤の一層の強化か大切であります。電子計測機器がエレクトロニクスのマザー・ツールであるといわれる所以でもあります。
 政府におかれましても,その重要性を十分認識され,電子計測技術甚盤の確立のためにいろいろな施策を展開されております。
 このような客観的諸情勢から故中谷太郎初代理事長は,電子計測技術の発展を推進し,産業基盤の確立に貢献することを強く念顧され,昭和59年4月に財団法人「中谷電子計測技術振興財団」が設立されました。
 当財団は,技術開発・技術交流の推進, 技術動向等の調査研究等を行うことにより,電子計測技術の基盤の確立に微力をつくす所存でございます。このような主旨をこ理解の上,当財団にご指導,ご協力を賜わりますようお願い申し上げます。


設立年月日 昭和59年4月24日
基金 6億2千万円

役員
理事長
三輪 史郎 (財)沖中記念成人病研究所所長・理事長

専務理事
橋本 禮造 シスメックス株式会社顧問

理事
梅垣 健三 元奈良県立医科大学学長・名誉教授
宇都宮 敏男 東京大学名誉教授
浅野 茂隆 東京大学医科学研究所附属病院院長・敦授
中谷 正 シスメックス椋弐会社取締役
栗山 榮治 当財団事務局長

監事
麻植 茂 公認会計士
秋山 純一 多摩大学・同大学院赦授(公認会計士)


評議員
川越 裕也 東大阪市立中央病院名誉院長
藤井 克彦 大阪大学名誉教授
斎藤 正男 東京電機大学工学部敦授 東京大学名誉教授
屋形 稔 新潟大学名誉敦授
八幡 義人 川崎医科大学教授
戸川達男 東京医和歯和大学生体材木十二学研究所散授
家次 恒 シスメソクス株式会社代表取締役社長
雪本 賢一 シスメックス株式会社専務取締役


事業の概要
電子計測技術の発展を推進し,産業基盤の確立を図ることにより,わが国経済社会の発展および国民生活の向上に資することを目的として,次の事業を行います。
■電子計測技術分野における技術開発に対する助成
電子計測技術分野における先導的技術開発活動を促進するため,これに助成します。
■電子計測技術分野における技術動向等の調査,研究
電子計測技術分野の実態および種々の問題について調査研究を行い,または,助成します。
■電子計測技術分野における技術交流に関する支援
電子計測技術分野における技術の交流を推進するため,内外の研究者等の交流に対する助成,シンポジウムの開催等を行います。
■電子計測技術分野に関する情報の収集,提供
電子計測技術に関する情報文献,資料等を収集整理し,その広汎な利用を図るための種々の活動を行います。

特定公益増進法人当財団は1998年9月に通商産業大臣より「特定公益増進法人」の認定を受けました。


内藤先生追悼記
-計測は愛なり-
財団法人 中谷電子計測技術振興財団
審査委員長 菅野 允

 平成11年9月30日、当財団の助成対象研究の審査委員長を長く勤められらた、内藤正先生が神に召された。
 内藤先生は、明治44年12月3日、東京山の手のお生まれと伺う。先生の何処となく、しゃれたキップの良さは、やはり江戸っ子、身に付いた上品さは、山の手という当時の高級住宅地、洋風が早く訪れた地域で、日本が日露戦争に勝って、これから発展するのだ、と国中に気概が満ちていた頃であるせいであろう。
 翌年は大正になり、先生の満の年齢は、大正の年と同じになる。大正3年には第一次世界大戦で、日本は大勝だった。7年には米騒動、12年には関東大震災と困難な事も起こった。しかし世の中の空気は、大正デモクラシーといわれる自由かつ進歩的な勢いが強かった。先生の幼少年時代はこの中にあり、先生の自然なスマートさはこのときに身についたと思われる。私が先生にお目に掛かったのは、昭和31年4月、電気試験所で標準器部長で、我々の上司として見えたときであった。
 電気試験所は、国立の唯一の電気の研究所であったが、昭和24年GHQ(General Headquarter)(占領軍総司令部)の命令により、通信部門を除いた部門だけが、通商産業省に移り、同じ所名を統けたのであった。戦後の産薬の復興は、正確な測定技術から、というので、電気の測定法の確立と、その基となる電気の標準を決める仕事を広く行っていた。それが標準計測部であった。内藤部長は、多部門の若くて勢いのいい部下達と、例の笑顔でよく話し合い、和やかな雰囲気のもとで、意見をまとめて下さった。このようなとき、どんな時でも、怒ったり、困った頻をされる事がなかった。
 雑談で、印象に残っているのは、坊ちゃんの誕生と霊南坂教会の取り壊しである。ずっとお嬢さんばかりだったのだが、「今度男の子が生まれた」、ととても嬉しそうだった。又、教会の運営を決める主要なメンバーだった先生は、日本で何番目かに古い、木造の大教会(その木組みの細かさと壮大なアーチは立派だった。)を、「取っておきたいのだが、耐震、耐火でもう許されない様だ」と残念がっておられた。
 先生は昭和36年に、出身の東京工業大学理工学部教授として移られた。そこで今や計測制御関係、(或いはロボット教授)として知る人の多い小林彬教授などを育てられた。昭和49年には青山学院大学電子工学科に移られ、キリスト教的雰囲気を楽しまれた様であり、最後まで非常勤講師であられた。この間昭和46年~48年には計測制御学会長になられたが、その他多くの学会の理事等を勤められた。
 中谷財団については筆者は平成10年に先生のあとを継ぐ事になるまでは、何も知らなかった。内藤先生の様にやれば、果たすことができる役目らしいが、その域には達してない、と心もとなかった。仕方がないから、関係の皆様に授けて頂くしかないと思った。内藤先生ならどうされたかな、と思うときが何度もある。
 御葬儀で印象を受けた事は、先生の人生の最後の過ごし方、と「計測は愛なり」とのお言葉である。前項については、成長された坊ちゃん、正樹氏の挨拶によれば、御家族と同居されてお過ごしになられたという事。また、東工大教授、小林彬教授の弔辞の中で、先生は『計測は愛なり」と言われていたという紹介があった事である。
 計測という仕事は、天然現象から人間の使うデータを採る仕事であり、言わば、神様と、人間との情報の橋渡しをする神聖な仕事なのである。先生が長い間、計測に関係して来られて特にその様に言っておられた意味の深さを感じる。
 君子ということばがあって、仲々値する人は見当たらないが、内藤先生はこれに近い希にみるスマートな君子であったと感じる。謹んで御冥福をお祈りする。


大森俊一元審壺委員追悼文
財団法人 中谷電子計測技術振興財団
審査委員 根本 俊雄

 中谷電子計測技術振興財団発足当時の昭和60年(1985年)より平成9年(1997年)まで12年間の長きにわたって、当財団の事業の一つである生体電子計測技術に関する研究助成の審査委員を勤められた大森俊一先生が平成11年4月9日77歳でご逝去されました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
 審査委員時代の大森先生は、後で紹介するように立派な御家系と御経歴のためと思われますが、正に男爵と言うに相応しい大人の風格を持たれた大変温厚なお人柄で、あまり多くの発言はされませんでしたが、意見を述べられるときは多くのご経験と学識に裏打ちされた的確なもので、研究助成の審査の公平さと権威を保つために大変貴重な存在であったと思います。
 大森さんの略歴を簡単に紹介いたしますと、大正11年1月11日に岩手県盛岡市で、京都府知事から大正天皇皇后宮太夫を奉職された祖父と内務官僚で後に貴族院議員を務められた父を持つ立派な家系の長男として誕生されました。昭和3年に群馬県立師範学校付属小学校に人学、東京に移られた昭和9年9月に学習院に奇扁人され、中等科時代の昭和11年1月1日に宮中後裳捧持に、さらに高等科時代の昭和17年1月15日には従五位を叙せられて居られます。同年4月東京工業大学電気工学科入学、戦時中のためか、昭和19年9月21日卒業式をあげられ、浜名海兵団で海軍見習尉官になられました。
昭和20年6月に男爵を襲爵され、同年11月に電気試験所(現電子技術総合研究所)の研究員として任官されましたが、昭和24年4月に警察通信学校の助教授として出向されました。しかし、同年11月に我が国の高周波標準整備の責任者として再び電気試験所に出向されています。昭和30年から31年にかけて米国の国家標準局(現NIST)に留学され、昭和36年11月には東京工業大学より工学博士号が授与されています。(この年、私は東工大から電気試験所で課長をされていた大森さんの下に出向したのですが、博士論文を提出されたのが助手をしていた西巻研究室の助教授をされていた末武国弘先生の所であったので、古巣と言うこともあり色々お手伝いさせて頂きました。また、当時の大森さんの上司である標準器部長が、前後して亡くなられた、同じように温厚な人柄であった元審査委員長の内藤正先生であったのも不思議な因縁を感じます。)
 昭和34年4月には電気試験所を退官され、東京理科大学の教授として若手の育成に当たられ多くの研究者や大学教授を輩出されると同時に、電気標準の国際機関であるIEC委員長として国際的にも活躍されるようになられました。審査委員をやめられた平成9年には東京理科大学も退職され、同年の夏に横行結腸進行癌で放っておけば余命11ヶ月と診断され闘病生活に人られたとのことですので、ある意味で、最後の最後まで国家標準と後輩の育成に尽力された人生であったかと思われます。


I 技術開発に対する助成事業
 国際経済社会において、 大きな位慣づけにある我が国にとって、 国際的協調をはかりつつ、 経済産業の発展を進めてゆくには、 新たな局面に対処するための産業構造の変換をはかるとともに先導的技術開発の創出が急がれている。
 このため、 当財団においては、 中核事業として電子計測技術分野における先導的技術開発活動を促進するため、 大学及びこれに準ずる研究機関に対して研究助成を昭和59年度から実施してきた。 その概要を次に述べる。

1. 助成対象研究の募集
 産業技術の共通的・基盤的技術である電子計測技術は極めて広汎な分野に亘るが,その中で,健康で、明るい人聞社会を築くために重要な役割を果すと考えられる技術開発分野として,理学・工学と医学・生物学の境界領域としての学限的研究である「生体に関する電子計測技術」の進展がますます要請されている。
 かかる状況を勘案し,当財団では対象を次のように定めて,毎年9月末日を締切として助成対象研究を募集してきた。

対象研究課題 生体に関する電子計測技術
助成対象 独創的な研究であって,実用化が期待されるもの。または,実用化のための基盤技術となるもの。

2. 審査委員会
 応募のあった助成研究申請書の内容を,中路幸謙委員長ほか6名の学識経験者からなる審査委員会において,再三にわたる慎重かつ,厳正な審査が行われ,助成対象研究テーマが選ばれた。

3. 研究助成金の贈呈式
 審査委員会の審壺を経て選出された夫々の研究開発テーマの研究責任者に対して、技術開発研究助成金の贈呈式を、平成12年2月25日、芝浜松町にある世界貿易センタービルにおいて、多数の関係者、来賓を迎えて盛大かつ厳粛裡にとり行った。
 この際、各研究者より研究内容の概要を発表していただき、好評を博した。
 また、研究助成金の贈呈式後、祝賀を含めて、記念懇談会を開催し、相互に、よろこびと意見の交歓を行った。
 なお、平成11年度の研究助成件数は10件、助成金総額は1,780万円であった。


第16回(平成11年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)


技術開発研究助成金贈呈式の開催状況
(注:写真/PDFに記載)


贈呈書の授与・研究計画の発表
(注:写真/PDFに記載)


記念懇親会
(注:写真/PDFに記載)


II 技術交流に関する支援事業

1. 技術交流助成事業
 電子計測技術の促進を図るためには、国際化時代に対応し、先端技術に関する内外研究者相互の国際交流を推進する必要があり、平成11年度は、次の事業を行った。これらの会議等において活発な技術交流活動が行われだ。

(1)技術交流(派遣)に関する助成
 下表のとお汀、電子計測技術分野における海外て開罹される国際会議に参加する研究者等3名の技術交流に対して助成を実施した。
(注:表/PDFに記載)


(2)技術交流(招聘)に関する助成
 下表のとおり、電子計湖技術分野{こおける日本で開僅される国際会議等に研究者等3名を招聘する技術交流に対して助成を実施した。
(注:表/PDFに記載)

2. 技術交流研究事業
 理・工学と医学とに関連する7名の専門家が交流し、新たな観点から生体電子計測技術に関する研究課題について討議を行い、間題点と今後の方向を探求するための研究会「21生体電子計測研究会」を支援した。平成11年度は、電子技術総合研究所の守谷哲郎大阪ライフエレクトロニクス研究センター長を主査として、「ボリュームレンダリングの最近の動向」「脳の中の文字-読み書きの脳機構-」「ファンクショナルMRI」「集束超音波の最近の話題」「医療情報データベース」「インターベンショナルMRI」等をテーマとして討議が行わ
れた。

21生体電子計測研究会メンバー(平成12年3月末現在)
守谷 哲郎 通商産業省工業技術院電子技術総合研究所 大阪ライフエレクトロニクス研究センター長
伊関 洋 東京女子医科大学脳神経センター 脳神経外科 専任講師
岡田 英史 慶応義塾大学理工学部電子工学科 助教授
木村 聡 昭和大学医学部臨床病理学教室 専任講師
佐久間 一郎 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻 工学部精密機械工学科 助教授
田村 光司 東京女子医科大学学長室医学教育情幸認室 附属心臓血圧研究所循環器内科 助手
中井 敏晴 通商産業省工業技術院電子技術総合研究所 大阪ライフエレクトロニクス研究センター 超分子部主任 研究官


平成9年度(第14回)
技術開発助成研究成果報告

1.一重項酸素および一酸化窒素の特異的検出法としての高感度近赤外域発光分光装置の開発
2.共焦点型偏光顕微鏡の開発と生物細胞の偏光解析への応用
3.微羅試料による組織酸素消費率の燐光測定法の開発
4.プロトン磁気共鳴画像化法を用いた生体内温度分布の非侵襲画像計測の研究
5.ピペット吸引法を応用した生休組織微小領域弾性率計測システムの開発に関する研究
6.高感度フォトダイオードアレイを利用した実時間眼底計測法の開発
7.イニファーター重合法を利用したインテリジェントバイオセンサーの開発
8.光ファイバ形センサ方式による発ガン関連酵素センシングシステムの開発
9.Burstパルスを用いた超音速MRI法の実用化
10.コンダクタンス法を用いた血管内径および血管壁性状評価の試み


技術開発に対する研究助成状況
年度 贈呈式年月日 助成件数 助成金総額
昭和59年度 昭和60年2月28日 6件 1,600万円
昭和60年度 昭和61年2月25日 9件 2,100万円
昭和61年度 昭和62年2月27日 9件 2,050万円
昭和62年度 昭和63年2月26日 9件 1,950万円
昭和63年度 平成元年3月10日 8件 1,880万円
平成元年度 平成2年2月23日 10件 2,110万円
平成2年度 平成3年2月22日 10件 2,010万円
平成3年度 平成4年2月28日 12件 2,430万円
平成4年度 平成5年2月26日 10件 1,930万円
平成5年度 平成6年2月25日 11件 2,100万円
平成6年度 平成7年3月24日 11件 2,160万円
平成7年度 平成8年2月23日 9件 1,820万円
平成8年度 平成9年2月28日 10件 1,920万円
平成9年度 平成10年2月27日 10件 1,670万円
平成10年度 平成11年2月26日 10件 1,700万円

第1回(昭和59年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第2回(昭和60年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第3回(昭和61年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第4回(昭和62年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第5回(昭和63年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第6回(平成元年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第7回(平成2年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第8回(平成3年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第9回(平成4年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第10回(平成5年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第11回(平成6年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第12回(平成7年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第13回(平成8年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第14回(平成9年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第15回(平成10年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)


技術交流に関する助成状況

技術交流に関する助成金贈呈者
(注:表/PDFに記載)


編集後記

 皆様いかがお過ごしでしょうか。年報14号がやっと出来上がり、お届けすることになりました。本号がお手許に届く頃は、暑い夏もようやく終わり、秋風が吹きはじめているのではないかと思います。
 悲しいことですが、当財団の中核事業である研究助成事業の審査に、長期間に亘ってご活躍いただきました、審介委員であった大森先生が昨年4月に、また、審査委員長をしていただいておりました内藤先生が同じく昨年8月に、それぞれ、ご逝去されました。このため、生前ご懇意でいらした審査委員長の菅野先生及び審査委員の根本先生から、追悼文をご寄稿いただき、掲載させていただきました。この場をお借りし、今は亡き内藤先生及び大森先生のご活躍に対し、改めて厚く御礼申し上げますとともに、ご冥福をお祈りいたします。
 本号では、平成11年度の事業報告を兼ね財団の活動状況を掲載しておりますが、平成11年度からは、国際交流(招聘)についても支援することとなり、その助成状況を報告しております。その成果につきましては、次年度にご報告する予定ですのでご期待下さい。
 財団では、例年のとおり、7月に助成対象研究の募集の文書約300通を全国の関連大学、付属病院等に、送付いたしました。本年も「生体に関する電子計測技術」を募集テーマといたしましたが、本年は、「生体」、「電子計測技術」ともに、広い意味で捉えている旨、付記させていただきました。多くの素晴らしい研究をご応募いただけるものと期待しております。
また、今年は、6月にリニューアルした財団のホームページでも、応募を呼びかけましたところ、多い数とは言えませんが、応募要領、申請用紙のお申し込みをいただいており、改めて、インターネットによる広報活動の重要性を認識した次第です。
 ところで、当財団ではこれまで、ワープロを活用して、文書作成、宛名ラベルの作成などの事務処理をしておりましたが、遅れ馳せながら、パソコンベースのOA化へ切り替えるべく、6月に新しいパソコンを導人させていただきました。ワープロ関連文書をパソコンベースヘ移行すべく、4月から徐々にデータ変換をしておりましたが、寄る年波に勝てず、ワープロが途中で動かなくなってしまいました。このため、諸々の書類をパソコンベースに再人力せざるを得ず、また、パソコンに不慣れなため、一部の方にはご迷惑をおかけしますが、お許し下さい。
 当財団は、特定公益増進法人として認可されており、当財団に対する寄付金は税金が免除されます。電子計測技術の発展のため諸事業を推進する本財団に対しまして、引ぎ続き暖かいご支援をお願い申し上げます。
(平成12年8月栗山記)