1999年[ 年報 ] : 年報13号

年報13号

中谷電子計測技術振興財団

概要

目次

設立の趣意
役員・評議会および事業の概要
I. 技術開発に対する助成事業
技術開発研究助成金贈呈式の開催状況
II. 技術交流に関する支援事業
平成8年度(第13回)技術開発助成研究成果報告
平成10年度技術交流助成成果報告
技術開発に関する研究助成状況
技術交流に関する助成状況


設立の趣意

 わが国経済社会の高度化は,1970年代以降急速に進展しています。これは,わが国の唯一の資源でもある恵まれた頭脳資源を,十分に活用することで達成されたものです。特にコンピュータを始めとするエレクトロニクス技術の発展が重要な役割を果たしてきました。
 これらのエレクトロニクス技術の発展は,優れた電子計測技術の基盤の確立か無くしてはありえません。今後わが国のエレクトロニクス技術の一層の発展を実現する上で,電子計測技術基盤の一層の強化か大切であります。電子計測機器がエレクトロニクスのマザー・ツールであるといわれる所以でもあります。
 政府におかれましても,その重要性を十分認識され,電子計測技術甚盤の確立のためにいろいろな施策を展開されております。
 このような客観的諸情勢から故中谷太郎初代理事長は,電子計測技術の発展を推進し,産業基盤の確立に貢献することを強く念顧され,昭和59年4月に財団法人「中谷電子計測技術振興財団」が設立されました。
 当財団は,技術開発・技術交流の推進, 技術動向等の調査研究等を行うことにより,電子計測技術の基盤の確立に微力をつくす所存でございます。このような主旨をこ理解の上,当財団にご指導,ご協力を賜わりますようお願い申し上げます。


設立年月日 昭和59年4月24日
基金 6億2千万円

役員
理事長
三輪 史郎 (財)沖中記念成人病研究所所長・理事長

専務理事
橋本 禮造 シスメックス株式会社顧問

理事
梅垣 健三 元奈良県立医科大学学長・名誉教授
宇都宮 敏男 東京大学名誉教授
浅野 茂隆 東京大学医科学研究所「付嘱病院院長・敦授
中谷 正 シスメックス椋弐会社取締役
栗山 榮治 当財団事務局長

監事
麻植 茂 公認会計士
秋山 純一 多摩大学・同大学院赦授(公認会計士)


評議員
川越 裕也 東大阪市立中央病院名誉院長
藤井 克彦 大阪大学名誉教授
斎藤 正男 東京電機大学工学部敦授 東京大学名誉教授
屋形 稔 新潟大学名誉敦授
八幡 義人 川崎医科大学教授
戸川達男 東京医和歯和大学生体材木十二学研究所散授
家次 恒 シスメソクス株式会社代表取締役社長
雪本 賢一 シスメックス株式会社専務取締役


事業の概要
電子計測技術の発展を推進し,産業基盤の確立を図ることにより,わが国経済社会の発展および国民生活の向上に資することを目的として,次の事業を行います。
■電子計測技術分野における技術開発に対する助成
電子計測技術分野における先導的技術開発活動を促進するため,これに助成します。
■電子計測技術分野における技術動向等の調査,研究
電子計測技術分野の実態および種々の問題について調査研究を行い,または,助成します。
■電子計測技術分野における技術交流に関する支援
電子計測技術分野における技術の交流を推進するため,内外の研究者等の交流に対する助成,シンポジウムの開催等を行います。
■電子計測技術分野に関する情報の収集,提供
電子計測技術に関する情報文献,資料等を収集整理し,その広汎な利用を図るための種々の活動を行います。


I 技術開発に対する助成事業
 国際経済社会において、 大きな位慣づけにある我が国にとって、 国際的協調をはかりつつ、 経済産業の発展を進めてゆくには、 新たな局面に対処するための産業構造の変換をはかるとともに先導的技術開発の創出が急がれている。
 このため、 当財団においては、 中核事業として電子計測技術分野における先導的技術開発活動を促進するため、 大学及びこれに準ずる研究機関に対して研究助成を昭和59年度から実施してきた。 その概要を次に述べる。

1. 助成対象研究の募集
 産業技術の共通的・基盤的技術である電子計測技術は極めて広汎な分野に亘るが,その中で,健康で、明るい人聞社会を築くために重要な役割を果すと考えられる技術開発分野として,理学・工学と医学・生物学の境界領域としての学限的研究である「生体に関する電子計測技術」の進展がますます要請されている。
 かかる状況を勘案し,当財団では対象を次のように定めて,毎年9月末日を締切として助成対象研究を募集してきた。

対象研究課題 生体に関する電子計測技術
助成対象 独創的な研究であって,実用化が期待されるもの。または,実用化のための基盤技術となるもの。

2. 審査委員会
 応募のあった助成研究申請書の内容を,中路幸謙委員長ほか6名の学識経験者からなる審査委員会において,再三にわたる慎重かつ,厳正な審査が行われ,助成対象研究テーマが選ばれた。

3. 研究助成金の贈呈式
 審査委員会の審査を経て選出された夫々の研究開発テーマの研究責任者に対して、技術開発研究助成金の贈呈式を昭和59年度より毎年、芝浜松町にある棋界貿易センタービルにおいて、多数の関係者、来賓を迎えて盛大かつ厳康裡にとり行っている。
 この際、各研究者より研究内容の概要を発表していただいているが、好評を博している。
 また、研究助成金の贈呈式後、祝賀を含めて、記念懇談会を開催し、相互に、よろこびと意見の交歓をしあった。
 なお、平成10年度の研究助成件数は10件、 助成金総額は1,700万円であった。


第15回(平成10年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)


技術開発研究助成金贈呈式の開催状況
(注:写真/PDFに記載)


贈呈書の授与・研究計画の発表
(注:写真/PDFに記載)


記念懇親会
(注:写真/PDFに記載)


II 技術交流に関する支援事業

1. 技術交流助成事業
 電子計測技術を促進するために、国際化時代に対応して、内外の研究者相互の先端技術の国際的交流が不可欠である。このため、平成10年度は下表のとおり、国際会議等への出席者3名に対して助成を行った。これらの会議等において活撥な技術交流活動が行われた。

技術交流に関する助成金贈呈者
(注:表/PDFに記載)

2. 技術交流研究事業
 理・工学と医学とに関連する7名の専門家か交流し、新たな観点から生体電子計測技術に関する研究課題について討議を行ない、問題点と今後の方向を探求するための研究会か平成9年4月に発足した。平成10年度は、電子技術総合研究所の守谷哲郎超分子部長を主査として「近赤外分光計測と光CT」「不整脈研究のための心臓興奮計測システム」等の研究課題について討議を行った。

21生体電子計測研究会メンバー(敬称略)
守谷 哲郎 通商産業省工業技術院電子技術総合研究所 超分子部長
伊関 洋 東京女子医科大学脳神経外科センター 脳神経外科 専任講師
岡田 英史 慶應義塾大学理工学部電子工学科 専任講師
木村 聡 昭和大学医学部臨床病理学教室 専任講師
佐久間 一郎 東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻 助教授
田村 光司 東京女子医科大学心臓血圧研究所循環器内科 助手
中井 敏晴 通商産業省」ご業技術院電子技術総合研究所 超分子部生体機能研究室主任研究官


平成8年度(第13回)
技術開発助成研究成果報告

低コヒ ーレンス光干渉計測による生体表皮下組織の構造検出と計測系の小型化に関する研究
細菌解析フローサイトメーターの開発と実用検査手法の確立
コンピュ ータ支援による尿検査バリデーションシステムの研究
尿一般検査の検証システム開発に関する基礎的研究体内埋込が可能な微小循環観察プロープの開発
全血試料および毛細管内細胞電気泳動法を用いた血液型およびクロスマッチ判定
超音波ドプラ法による局所脈波速度計測法の新開発
医療用マイクロバイオセンサーシステム
バイオミメティック有機素子を用いた血中コレステロール計測用センサーの開発
バイオリアクターを中核とするFIA法による糖尿病関連物質の高感度化学発光分析法の開発に関する研究
全血のアドミッタンス計測による赤血球凝集(連銭形成)計の試作


技術開発に対する研究助成状況
年度 贈呈式年月日 助成件数 助成金総額
昭和59年度 昭和60年2月28日 6件 1,600万円
昭和60年度 昭和61年2月25日 9件 2,100万円
昭和61年度 昭和62年2月27日 9件 2,050万円
昭和62年度 昭和63年2月26日 9件 1,950万円
昭和63年度 平成元年3月10日 8件 1,880万円
平成元年度 平成2年2月23日 10件 2,110万円
平成2年度 平成3年2月22日 10件 2,010万円
平成3年度 平成4年2月28日 12件 2,430万円
平成4年度 平成5年2月26日 10件 1,930万円
平成5年度 平成6年2月25日 11件 2,100万円
平成6年度 平成7年3月24日 11件 2,160万円
平成7年度 平成8年2月23日 9件 1,820万円
平成8年度 平成9年2月28日 10件 1,920万円
平成9年度 平成10年2月27日 10件 1,670万円

第1回(昭和59年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第2回(昭和60年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第3回(昭和61年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第4回(昭和62年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第5回(昭和63年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第6回(平成元年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第7回(平成2年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第8回(平成3年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第9回(平成4年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第10回(平成5年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第11回(平成6年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第12回(平成7年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第13回(平成8年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第14回(平成9年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)


技術交流に関する助成状況

技術交流に関する助成金贈呈者
(注:表/PDFに記載)


編集後記

 大変遅くりましたが、財団法人中谷電子計測技術振興財団の年報vol.13をお届けいたします。内容は従来の年報を踏襲いたしましたが、事務局人事の異動等があり、遅れましたことをお詫びいたします。
 さて、本年6月に開催されました理事会において、役員等の異動が承認されました。即ち、木村英一理事、伊藤健一理事、本田親彦監事が退任され、新たに、東京大学医科学研究所付属病院長・教授である浅野茂隆氏が理事に、多摩大学・同大学院教授(公認会計士)である秋山純一氏が監事に、東京医科歯科大学生体材料工学研究所教授である戸川達男氏が評議員にそれぞれ就任されました。また、事務局長を兼ねた理事に栗山榮治が就任いたしましたので、よろしくお願いいたします。
 今回退任された木村英一様、伊藤健一様、本田親彦様におかれましては、財団設立以来約15年にわたり、理事、監事として、財団の活動を支えていただき、電子計測技術の振興にご尽力を頂きました。特に、木村先生におかれましては、当財団の創立者でもある故中谷太郎初代理事長のご後任として、13年間という長期間に渡り、理事長という大役をお引き受けいただき、財団の活動を牽引していただきました。伊藤様におかれましては、事務局長として、財団活動の実務を一手にお引き受け下さり、今日の活動形態を確立して下さいました。本田様におかれましては、経理面を中心にご指導をいただきました。皆様方のこれまでのご功績、ご苦労に対し、この場をお借りいたし、心から感謝申し上げますとともに、今後とも、当財団の活動に対しまして、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願いする次第であります。
 このところ、インターネットは一段と普及し、大学、企業、官庁、団体など多くの組織で導入され、活用されております。当財団におきましては、これまで研究会等、一部の事務連絡に限って電子メールを活用しておりましたが、この度、財団事務局として正式に導入することといたしました。メールアドレスは、「nemta@jade.dti.ne.jp」です。今後、事務局に対する連絡用として、ご利用くだされば幸いです