1998年[ 年報 ] : 年報12号

年報12号

中谷電子計測技術振興財団

概要

目次

設立の趣意
太田評議員を悼む
役員・評議会および事業の概要
I. 技術開発に対する助成事業
技術開発研究助成金贈呈式の開催状況
II. 技術交流に関する支援事業
平成7年度(第12回)技術開発助成研究成果報告
平成9年度技術交流助成成果報告
技術開発に関する研究助成状況
技術交流に関する助成状況


設立の趣意

 わが国経済社会の高度化は,1970年代以降急速に進展しています。これは,わが国の唯一の資源でもある恵まれた頭脳資源を,十分に活用することで達成されたものです。特にコンピュータを始めとするエレクトロニクス技術の発展が重要な役割を果たしてきました。
 これらのエレクトロニクス技術の発展は,優れた電子計測技術の基盤の確立か無くしてはありえません。今後わが国のエレクトロニクス技術の一層の発展を実現する上で,電子計測技術基盤の一層の強化か大切であります。電子計測機器がエレクトロニクスのマザー・ツールであるといわれる所以でもあります。
 政府におかれましても,その重要性を十分認識され,電子計測技術甚盤の確立のためにいろいろな施策を展開されております。
 このような客観的諸情勢から故中谷太郎初代理事長は,電子計測技術の発展を推進し,産業基盤の確立に貢献することを強く念顧され,昭和59年4月に財団法人「中谷電子計測技術振興財団」が設立されました。
 当財団は,技術開発・技術交流の推進, 技術動向等の調査研究等を行うことにより,電子計測技術の基盤の確立に微力をつくす所存でございます。このような主旨をこ理解の上,当財団にご指導,ご協力を賜わりますようお願い申し上げます。


太田評議員を悼む
財団法人 中谷電子計測技術振興財団
理事長 三輪 史朗

 太田評議貝,1月8日ご急逝との訃報に接し,驚きと共に悲しみの念にたえません。
 健康への恢復に全身全霊をもって渾身の力を尽されたご本人,日夜ご看病に明けくれられたご遺族を思いますと万感胸をふさぐ思いです。
 こゝに,太田評議貝のご遺徳を偲び,謹んで哀悼の意を捧げる次第です。太田評議員は,中谷財団設立以来,評議員として,また,東亜医用電子株式会社の役員という関係者としても,財団の事業の運営に多大のご尽力を下さいました。
 将来の見通しの優れた,その素晴しい決断力と,大きな包容力をもって,適時適切なご指導を下さいました事,誠に有難く感謝しております。
 中谷財団の技術開発研究助成金の贈呈式には,毎回,撥刺としたお姿をお見せになり,あの気さくな,和やかな笑い顔で,いろいろと建設的なお話をして下さいました。そのお顔に再び接し得なくなった事に,人の冊の無常を痛切に感じます。
 太田評議員は,中谷財団の十周年記念誌に,次のような随想をご寄稿下さいました。
 熊野路と題し,紀伊の熊野古道か山岳信仰のメッカとして栄えたことを含めて,人の心をひきつける文章で書き述べられておられます。
 その結語として,
 熊野古道は,“無病息災”を顛う人々から,自らの健康をつくる人々へと主役か移ったようです。
 長寿時代をむかえ,健康を維持するための予防,あるいは,健康であることを楽しむ時代になったように思います。そのためにも,いささかでも当財団の活動が寄与できれば幸甚です。
 と述べて下さっております。
 常に評議貝として,中谷財団へ暖かいお心を寄せて下され,頑強そのものの健康なお身体で,東亜医用電子株式会社が,大きく内外に飛躍されるために,専務取締役としての重責を遂行されていた太田評議貝か,55歳という若さで志半ばで他界されたことは,誠に痛恨の極みであります。
 私達は,健康をモットーとして,社会に役立ちたいと努めてこられた太田評議員のご遺志を体し,いささかなりと,明るく健康な人間社会の構築に貢献するために,電子計測技術の振興に努めることをお誓いし,太川評議員のご冥幅を心からお祈り申し上げます。


設立年月日 昭和59年4月24日
基金 6億2千万円

役員
理事長
三輪 史郎 (財)沖中記念成人病研究所所長・理事長

専務理事
橋本 禮造 東亞医用電子株式会社 相談役

理事
木村 英一 元大阪市立大学学長・名誉教綬
梅垣 健三 元奈良県立医科大学学長・名誉教授
宇都宮 敏男 東京大学名誉教授
中谷 正 東亞医甲電子株式会社 取締役
伊藤 健一 当財団 事務局長

監事
麻植 茂 公認会計士
本田 親彦 公認会計士


評議員
川越 裕也 東大阪市立中央病院名誉院長
藤井 克彦 大阪大学名誉教授
斎藤 正男 東京電機大学工学部敦授 東京大学名誉教授
屋形 稔 新潟大学名誉敦授
八幡 義人 川崎医科大学教授
家次 恒 東亞医用電子株式会社 代表取締役社長
雪本 賢一 東亞医用電子株式会社 専務取締役


事業の概要
電子計測技術の発展を推進し,産業基盤の確立を図ることにより,わが国経済社会の発展および国民生活の向上に資することを目的として,次の事業を行います。
■電子計測技術分野における技術開発に対する助成
電子計測技術分野における先導的技術開発活動を促進するため,これに助成します。
■電子計測技術分野における技術動向等の調査,研究
電子計測技術分野の実態および種々の問題について調査研究を行い,または,助成します。
■電子計測技術分野における技術交流に関する支援
電子計測技術分野における技術の交流を推進するため,内外の研究者等の交流に対する助成,シンポジウムの開催等を行います。
■電子計測技術分野に関する情報の収集,提供
電子計測技術に関する情報文献,資料等を収集整理し,その広汎な利用を図るための種々の活動を行います。


I 技術開発に対する助成事業
 国際経済社会において、 大きな位慣づけにある我が国にとって、 国際的協調をはかりつつ、 経済産業の発展を進めてゆくには、 新たな局面に対処するための産業構造の変換をはかるとともに先導的技術開発の創出が急がれている。
 このため、 当財団においては、 中核事業として電子計測技術分野における先導的技術開発活動を促進するため、 大学及びこれに準ずる研究機関に対して研究助成を昭和59年度から実施してきた。 その概要を次に述べる。

1. 助成対象研究の募集
 産業技術の共通的・基盤的技術である電子計測技術は極めて広汎な分野に亘るが,その中で,健康で、明るい人聞社会を築くために重要な役割を果すと考えられる技術開発分野として,理学・工学と医学・生物学の境界領域としての学限的研究である「生体に関する電子計測技術」の進展がますます要請されている。
 かかる状況を勘案し,当財団では対象を次のように定めて,毎年9月末日を締切として助成対象研究を募集してきた。

対象研究課題 生体に関する電子計測技術
助成対象 独創的な研究であって,実用化が期待されるもの。または,実用化のための基盤技術となるもの。

2. 審査委員会
 応募のあった助成研究申請書の内容を,中路幸謙委員長ほか6名の学識経験者からなる審査委員会において,再三にわたる慎重かつ,厳正な審査が行われ,助成対象研究テーマが選ばれた。

3. 研究助成金の贈呈式
 審査委員会の審査を経て選出された夫々の研究開発テーマの研究責任者に対して、技術開発研究助成金の贈呈式を昭和59年度より毎年、芝浜松町にある棋界貿易センタービルにおいて、多数の関係者、来賓を迎えて盛大かつ厳康裡にとり行っている。
 この際、各研究者より研究内容の概要を発表していただいているが、好評を博している。
 また、研究助成金の贈呈式後、祝賀を含めて、記念懇談会を開催し、相互に、よろこびと意見の交歓をしあった。

年度 贈呈式年月日 助成件数 助成金総額
平成9年度 平成10年2月27日 10件 1,670万円


第14回(平成9年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)


技術開発研究助成金贈呈式の開催状況
(注:写真/PDFに記載)


贈呈書の授与・研究計画の発表
(注:写真/PDFに記載)


記念懇親会
(注:写真/PDFに記載)


II 技術交流に関する支援事業

1. 技術交流助成事業
 電子計測技術を促進するために、国際化時代に対応して、内外の研究者相互の先端技術の国際的交流が不可欠である。このため次のとおり、平成9年度は国際会議等への出席者に対して助成を行った。これらの会議等において活撥な技術交流活動が行われた。

技術交流に関する助成金贈呈者
(注:表/PDFに記載)

2. 技術交流研究事業
 理・工学と医学とに関連する7名の専門家か交流し、新たな観点から生体電子計測技術に関する研究課題について討議を行ない、問題点と今後の方向を探求するための研究会か平成9年4月に発足した。
 電子技術総合研究所の守谷哲郎超分子部長を主査として 「MRIの現状と展望」等の研究課題について討議を行った。

21生体電子計測研究会メンバー(敬称略)
守谷 哲郎 通商産業省l翼業技術院電子技術総合研究所 超分子部長
伊関 洋 東京女子医科大学脳神経外科センター 脳神経外科 専任講師
岡田 英史 慶應義塾大学理工学部電子工学科 専任講師
木村 聡 昭和大学医学部臨床病理学教室 専任講師
佐久間 一郎 東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻 助教授
田村 光司 東京女子医科大学心臓血圧研究所循環器内科 助手
中井 敏晴 通商産業省」ご業技術院電子技術総合研究所 超分子部生体機能研究室主任研究官


平成7年度(第12回)
技術開発助成研究成果報告

植え込み型水晶体温センサによる移植臓器の遠隔期拒絶反応の無浸襲検知に関する研究
動的画像解析法による生体細胞の同定と個数の迅速測定に関する研究
電子計測技術を用いた血液中甲状腺悪性腫瘍特異抗原定量系の開発
多光子過程による紫外高分解能走杏型レ ーザー顕微鏡とその生物学への応用
音響学的方法による冠動脈狭窄検出装置の開発に関する研究
頸の傾斜、 回転、 および回旋角測定装置の研究開発
微小電極法による遊離細胞膜表面電位の測定
新しいガンマ線用検出器カドニウム亜鉛テロライドを応用した循環・呼吸計測用ポ ー タプル装置の開発
水晶振動子の電極表面に直接結合する遺伝子組替え抗体の作製と免疫センサーヘの応用


技術開発に対する研究助成状況
年度 贈呈式年月日 助成件数 助成金総額
昭和59年度 昭和60年2月28日 6件 1,600万円
昭和60年度 昭和61年2月25日 9件 2,100万円
昭和61年度 昭和62年2月27日 9件 2,050万円
昭和62年度 昭和63年2月26日 9件 1,950万円
昭和63年度 平成元年3月10日 8件 1,880万円
平成元年度 平成2年2月23日 10件 2,110万円
平成2年度 平成3年2月22日 10件 2,010万円
平成3年度 平成4年2月28日 12件 2,430万円
平成4年度 平成5年2月26日 10件 1,930万円
平成5年度 平成6年2月25日 11件 2,100万円
平成6年度 平成7年3月24日 11件 2,160万円
平成7年度 平成8年2月23日 9件 1,820万円
平成8年度 平成9年2月28日 10件 1,920万円

第1回(昭和59年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第2回(昭和60年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第3回(昭和61年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第4回(昭和62年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第5回(昭和63年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第6回(平成元年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第7回(平成2年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第8回(平成3年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第9回(平成4年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第10回(平成5年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第11回(平成6年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第12回(平成7年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)

第13回(平成 8 年度)技術開発研究助成対象研究
(注:表/PDFに記載)


技術交流に関する助成状況

技術交流に関する助成金贈呈者
(注:表/PDFに記載)