2016年[ 技術交流助成 (海外派遣) ] 成果報告 : 年報第30号

平成27年度技術交流助成成果報告(海外派遣)・白石 祐大

研究責任者

白石 祐大

所属:東京農工大学大学院 工学府 機械システム工学専攻 修士1年

概要

1)会議又は集会の概要

生物物理学年会は生物物理学に関連するあらゆる研究の発展及び振興を実現するための会議であり、世界中の関連学会や産業界、政府機関に属する研究者に対して、最新の論文を共有しその技術や応用の方法を習得するための場を提供することが目的である。当会議ではあわせて 3240 もの口頭発表、ポスター発表、シンポジウム、講義が行われる。その他に様々な展示や、研究者・学生同士の交流の場を設け、物理生物学のさらなる学際化、若手研究者の教育および産業の振興を図る。

 

2)会議の研究テーマとその討論内容

分子生物学、細胞生物学、遺伝子工学、バイオエンジニアリングや科学教育など多岐に亘る分野の発表が行われており、分野を超えて様々な研究者たちが議論を行っていた。

 

3)出席した成果

FLUIDIC-RESISTANCE CONTROL IN ARTERIAL PULSATION SIMULATORS と題して、人工脈動装置における波形デザインと、流路抵抗の役割に焦点を当てて発表を行った。会場では海外の研究者たちと議論し、研究の今後と装置の改良に向けて非常に有意義な意見を得ることができた。具体的には次のような質問、進言を受けた。

・実用段階(バイオリアクターとしての利用)で、どのようにして循環する培養液をクリーンに保つか。 フィルターの設置は必至になると考えられるが、インキュベーター部分やタンクなど複数個所に設置し、交換可能な設計にした方がよい。

 

・抵抗部分に細く分岐した構造(最小内径 2mm)を用いているが、これは毛細血管と同様の挙動を示すのか。ハーゲンポアズイユ流れに近似できる、より小さい径の管を使用したほうが、流量と圧力の調節が簡単になるのではないか。

・より太く、柔らかいシリコーンチューブを装置に接続することで、人体のコンプライアンスと反射波の挙動を再現できるのではないか。

いずれの意見も装置を改良していくうえで重要な要素と成り得るので、今後参考にする所存である。また、他の研究者の発表からも得るものは大きかった。血管疾患に対する全く異なるアプローチでの治療法・発症メカニズムの調査方法等に触れることができたのは今後の研究の糧になるだろう。

学生同士の交流を図るプログラム Speed Networking では、世界中の学生とカジュアルな会話や、研究について簡易な説明を交えて交流することができた。海外での国際学会は私にとって初めての経験であったので、国際的なコミュニケーションを学ぶ貴重な機会となった。

 

4)その他

国際会議で海外の研究者と交流を図るだけでなく、現地ロサンゼルスの文化を、身をもって経験することができた。当会議のレセプションでは、バンド演奏などもあり、参加した研究者達も大いに盛り上がりを見せていた。日本では中々見られない光景に少々驚いたが、文化の違いなどを感じることができた。

 

(注:写真/PDFに記載)

ポスター発表及び企業展示が行われた会場。200m 四方ほどの広大なホールを使用していた

 

(注:写真/PDFに記載)発表会場入り口にて撮影

(注:写真/PDFに記載)発表中の様子

(注:写真/PDFに記載)レセプションでのバンド演奏の様子

(注:写真/PDFに記載)ポスターセッション会場の様子