2016年[ 技術交流助成 (海外派遣) ] 成果報告 : 年報第30号

平成27年度技術交流助成成果報告(海外派遣)・吉田 悟

研究責任者

吉田 悟

所属:慶應義塾大学大学院 理工学研究科 総合デザイン工学専攻 修士1年

概要

1)会議又は集会の概要

近年、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems,MEMS)分野における研究はスマートフォン等デバイスの小型化に伴い急速に発展してきており、一つの大きな研究分野として注目を集めている。本会議はこの分野における最も権威ある会議の一つとして、MEMS 技術に関する最新の研究結果が毎年報告されている。今年度も本会議に 835 件のアブストラクトが投稿され、そのうち 324 件が採択されており、その関心の高さが伺える。近年では MEMS 分野の医療やバイオ技術への貢献も期待されているため、同分野のセッションも多数開催された。また、本会議はシングルセッション形式であるため参加者同士の交流の機会も多く、MEMS 技術を基盤とした異分野交流による新規技術の発展に大きく寄与している。

 

2)会議の研究テーマとその討論内容

本会議において私は、“Anisotropic Spherical Collagen Microparticles for Confined 3D Cell Culture System with Spatially Designed Microenvironment”という研究題目で口頭発表を行った。この発表に対して、聴衆からは非常に有意義な質問が質疑応答時間の終了まで絶えずなされた。それらの頂いた主な質問とそれに対する応答を以下に示す。まず、“本研究では 2000 G という遠心力を利用してビーズを射出、作製しているのだが、この手法の利点は何があるか。また、遠心力を使わなくてもマイクロ流路などを使用しても作製できるのではないか。”という質問に対し遠心力を利用することでビーズ径を小さく制御する ことができるために本研究では遠心力を用いてビーズを射出する手法を用いていると応答した。また、

“ビーズ径を制御できると発表にてコメントしているが、具体的なパラメータで制御したのか。”という質問も頂いた。これに対しては、本研究では 100 µm 程度のビーズを作製するために、シータ管の口径を 53µm 程度に加工し用いた、と回答した。

 

3)出席した成果

本会議に出席して最も大きな成果は、世界レベルの研究者と直接交流を持つことができたことである。特に私の発表に関する質疑応答は短い時間ではあったが、 世界的な研究者が私の研究に興味を持ち、質問をくださるので極めて有意義であった。また、本会議は MEMS 分野でも細分化された様々な研究のバックグラウンドを有する研究者が参加するために、自身の研究と専門が異なる研究者も少なくない。そのため、異なる領域の研究者が自身の研究領域のどの部分に興味を持つのかを明確にすることもでき る。このような観点からも発表と質疑応答は非常に価値のあるものであったといえる。このような機会 は実際に本会議のようなレベルの高い国際会議に出席しなければ得ることができないために、本会議に 出席した成果は大きい。

 

4)その他

本会議ではバンケットも開催された。バンケットにおいて私は他の大学に所属する研究者だけではなくフィンランドの研究者とも交流をすることができた。研究に関する交流はもちろん大事ではあるが、交流をするうえで相手の文化を理解しておくことも重要である。このバンケットのように研究以外の話ができる場は相手の文化を理解することにつながるため、今後海外の研究者と交流する上で有意義であったといえる。

(注:写真/PDFに記載)