2017年[ 技術交流助成 (海外派遣) ] 成果報告 : 年報30号補刷

平成28年度 技術交流助成成果報告(海外派遣)・小林 美菜

研究責任者

小林 美菜

所属:大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻

概要

会議等名称 13th International Conference on
Radiation Shielding (ICRS-13) & 19th Topical Meeting of the Radiation Protection & Shielding Division of the American Nuclear Society-2016 (RPSD-2016)
開催地 フランス、パリ
時期 平成 28 年 10 月 3 日~10 月 6 日

1)会議又は集会の概要
本会議は、(1)放射線遮蔽に関わる国際的な研究の進展の総括、(2)今後の研究動向と重点領域についての専門家間の議論、(3)放射線遮蔽を基軸とした研究の促進、および、(4)世界における原子力エネルギー・放射線利用の発展に資すること、を目的に開催されている。4 年ごとに欧州・米国・日本で順に開催され、この分野における世界最大の国際会議である。会議は OECD/NEA が中心となって取りまとめ、今回の会議には 26 か国、303 人が参加した。従って、放射線計測、放射線遮蔽設計、放射線管理、放射線安全評価、放射線治療などについて、その分野の専門家と包括的な議論ができる非常に良い機会を提供してくれる会議である。

2)会議の研究テーマとその討論内容
本会議では、原子力エネルギー利用に関わる原子炉、核燃料サイクル施設、放射性廃棄物施設や、放射線利用に関わる加速器施設、医療施設、工業施設等に関する放射線遮蔽・安全・防護を対象とした設計コードや関連データの開発・応用、遮蔽実験研究、放射線計測技術開発、線量評価等をテーマとして議論が進められる。放射線遮蔽・防護は、原子力の平和利用及びその安全確保と発展のために特に重要な分野であり、会議にて各国の放射線利用の動向と現状が紹介され、課題についての討議が行われる。
本研究は、近年の放射線治療の普及に伴い、医療従事者の被ばくが問題になっていることを背景に、その被ばくを出来るだけ低減することを目指し、放射線のその場計測(可視化)装置を開発することを目的とし、その成果を発表した。会議では、上記の分野の専門家と本研究の結果や現状の問題点について議論した。

3)出席した成果
様々な口頭発表やポスター発表、コーヒーブレイク等の交流を通じて放射線遮蔽の現状を知ることができた。また、本会議ではポスター発表の時間が会期中に連日設けられていたため、様々な方と話しをする機会に恵まれた。そこで同様の研究を行っている研究者から話を伺い、研究内容や今後の方針、課題についての議論をすることができた。また、それに加えて研究についてのアドバイスもいただいた。今後はそこで得た知見を活用し、研究を進めていこうと考えている。

4)その他
以下は本会議の写真である。1 枚目はポスター発表の様子で、今回 66 件のポスター発表があり、そのうち 17 件が学生であった。また 2 枚目は会場の様子であり、ここでコーヒーブレイクなど研究者間の交流が行われていた。3 枚目は最寄り駅から会場までの風景の 1 つである。この写真を見てもわかるようにパリには空を遮る電線や高い建物がなく、パリ市内のどこからでもエッフェル塔が見ることができた。またパリ市内の建造物は色調が揃っているため、朝昼晩、どの瞬間を切り取っても統一感のある美しい街並みを味わうことができる素晴らしい土地であった。今回の訪問を通じ、日本とは全く異なるパリの文化に実際に触れ、勉強することができたことは、かけがえのない経験となった。
最後に、本会議への参加にあたり、多大なご支援をいただいた貴財団に心より感謝申し上げます。