2017年[ 技術交流助成 (海外派遣) ] 成果報告 : 年報30号補刷

平成28年度 技術交流助成成果報告(海外派遣)・龍 進吾

研究責任者

龍 進吾

所属:豊橋技術科学大学大学院 工学系研究科 情報・知能工学 修士1年次

概要

会議等名称 Engineering in Medicine and Biology Society
開 催 地 アメリカ合衆国フロリダオーランドディズニーリゾート
時 期 平成 28 年 8 月 16 日~8 月 20 日

1)会議又は集会の概要
生体医学的なヘルスケア技術、臨床応用技術、生体信号処理などをテーマとした IEEE 主催の国際会議である。一般論文はオーラル発表か、ポスター発表のいずれかに分けられ、研究テーマについて議論を行った。また、ポスター発表者は自身のテーマについて 2 分間のショートオーラルを行った。

2)会議の研究テーマとその討論内容
Spatial smoothing of canonical correlation analysis for steady state visual evoked potential based brain computer interfaces
上記のテーマについてポスター発表を行った。
ヒトの脳活動を用いて機器の制御を行うインターフェースをブレインコンピュータインターフェー ス(BCI)と呼ぶ。この BCI の判別手法として正準相関分析(CCA)が多く用いられている。しかし、この手法は入力された脳波信号が十分な信号長であれば高い判別率を得ることができるが、短い信号を入力した場合は判別率が低下する。私は、レーリー商で定式化された空間フィルタの最適化問題における空間フィルタの空間的平滑化を応用し、電極配置情報を用いた空間的平滑化による正則化を行う CCA を提案した。
発表の際には、提案手法のアルゴリズムを中心に説明した。質問は提案手法の数式に関するものもあったが、その内容よりもそのアルゴリズムがどのような理由づけの下で考えられたか、妥当としたのかという質問が多かった。例えば、なぜ空間フィルタの平滑化が、短い信号長に対して有効であるのか、そもそも BCI の判別手法として CCA が有効である理由などである。また、本研究では頭皮上に取り付けた全電極の電極配置情報を使用しているが、視覚刺激を用いるのであれば視覚野の電極情報に対して重みをつければよいのではないかという意見もあった。これに関しては指導教官を交えて検討する予定である。

3)出席した成果
国際会議は初めてだったが、自分の英語力不足を痛感した。特にヨーロッパとは発話の速度が大きく違っていたため、会話の内容を聞き取ることができないことが多かった。今後はヒアリングを重点的に練習して次の機会に備えたい。
ショートオーラルは 2 分間という短い時間であったため、結論から入ることと、自分が最も優れていると考えている部分に重点を置いて説明した。オーラル後の反省点としては、アルゴリズムについて深く理解しなくてもダイレクトに伝わるような説明足りなかったことが挙げられる。また、2 時間のポスター発表は休憩の時間があまりとれない程度に参加者が訪れた。発表ではアルゴリズムを中心に説明したが、質問の内容はそのアルゴリズムの意味についてのことが多かったため、次にポスターを作製する際にはその背景も書くことを心がけていきたい。