2017年[ 技術交流助成 (海外派遣) ] 成果報告 : 年報30号補刷

平成28年度 技術交流助成成果報告(海外派遣)・林 裕晃

研究責任者

林 裕晃

所属:徳島大学大学院 医歯薬学研究部 保健科学部門

概要

会議等名称 RSNA2016
開催地 McCormick Place, Chicago, Illinois, USA
時期 平成 28 年 11 月 27~12 月 2 日

1)会議又は集会の概要
RSNA(Radiological Society of North America)は毎年 11 月末に北米で開催される放射線の医療利用に関する非常に大きな学会で、多くの医療関係者(医師、診療放射線技師、医学物理士)や企業関係者、そして大学関係者が参加しています。科学研究発表に加えて、企業展示や教育コースなどが充実しており、幅広い層の参加者のレベルに合わせた勉強の機会が提供されていることも特徴です。平成 28
年度は 425 の教育コース、1728 の科学研究発表、そして 659 の企業展示がありました。

2)会議の研究テーマとその討論内容
私は Educational Poster(4 m wide hard copy poster)で、2 演題の発表を行ってきました。学会が指定したプレゼンテーションの時間は無かったので、毎日のようにポスターの前に立ち、興味を持ってくれた人と議論を行いました。用意した論文別刷・名刺は全て無くなるという盛況ぶりでした。
1 つの目の演題は”Convenient measurement method using small-type OSL dosimeters for evaluation of doses in CT scans: uncertainty evaluation, entrance-skin dose of phantom, and organ dose of
cadaver” というタイトルで、小型 OSL 線量計(放射線検出器)を用いて、X-ray Computed Tomography(X 線 CT)検査における被曝線量測定の測定手法に関する内容です。現状では X 線 CT 検査時の患者の被曝線量は実測されていないので、独自の手法を用いて実測することを見越して、予想される問題点と測定精度、将来の波及効果をまとめました。臨床画像を提示したこともあり、特に医師に対して反響がありました。
2 つ目の演題は”Universal calibration curve for a small-type OSL dosimeter to be used for direct dose measurements of direct, scattered and penetrating X-rays in the diagnostic region”というタイトルで、レントゲン撮影(単純 X 線撮影)に対して、小型 OSL 線量計を用いて被曝線量測定を提案する内容です。物理学的な基礎実験やシミュレーション計算などを駆使して線量計の基礎特性を評価し、この線量計があらゆる医療用途に対して被曝線量測定ができることを実証しました。この演題に関しては特に医学物理士の方々に興味を持ってもらい、激励の言葉を多く貰いました。

3)出席した成果
Universal calibration curve に関する演題で、Certificate of merit(RSNA)と CIRMS Ribbon award
(Council on ionizing radiation measurements and standards)を受賞することができました。後者の賞は、ポスタープレゼンテーションに対して授与される賞ですが、審査員と知らずに非常に白熱した議論をした後に、“You are winner!”と言われ、非常に驚きました。

4)その他
今回の RSNA は、2 回目の参加です。昨年とは全く違う反響で、1 年間の工夫や研究の進捗が国際会議の充実感にそのまま反映されることを実感しました。英語能力の向上、研究レベルの向上、…など、様々な課題がありますが、一つ一つを着実にレベルアップさせて、毎年のように RSNA で発表したいと思っています。最後になりましたが、旅費のご支援をいただき、本当に有難うございました。