2017年[ 技術交流助成 (海外派遣) ] 成果報告 : 年報30号補刷

平成28年度 技術交流助成成果報告(海外派遣)・空田 明日香

研究責任者

空田 明日香

所属:東京農工大学大学院 工学府 生命工学専攻博士 前期課程2年

概要

会議等名称 PACIFIC RIM MEETING 2016
開催地 アメリカ合衆国(ハワイ)
時期 平成 28 年 10 月 2 日~10 月 7 日

1)会議又は集会の概要
PACIFIC RIM MEETING 2016 (PRiME 2016)では電気化学分野、再生エネルギー分野、生体医療分野、生物工学分野、衛生分野と多岐にわたる分野の研究についての発表が行われた。

2)会議の研究テーマとその討論内容
本会議の研究テーマは Bioengineering Based on Electrochemistry であり、医療分野およびスポーツ分野において用いられる様々なセンサー機器の最新の技術について情報を共有し討論した。また、私の発表のタイトルは“Identification of substrate binding site of fungus derived FAD dependent glucose dehydrogenase”であった。カビ由来のフラビンヌクレオチド(FAD)依存型グルコース脱水素酵素
(FADGDH)はグルコースの脱水素化反応を触媒するため、現在市販の血糖自己測定(SMBG)機器のセンサー素子として注目されている。しかし、本酵素が用いられている SMBG 機器を利用できる糖尿病患者は限られており、消化吸収試験を受ける糖尿病患者の場合は誤測定が生じるため使用することが出来ない。その原因は FADGDH のグルコースへの特異性があまり高くないことである。そのため、FADGDH のグルコースへの特異性を向上させ、全ての糖尿病患者が利用できる SMBG 機器の開発が求められている。今回は、グルコースへの特異性が向上した FADGDH の変異体酵素に注目し、グルコースと他の糖を識別することが出来るようになった、つまりグルコースへの特異性が向上した理由を探る研究について発表を行った。

3)出席した成果
血糖測定機器への応用が期待される酵素の研究について発表し、自身の研究内容を周知することができた。また、様々な分野の研究者の発表を聞くことで、センサーに用いられている酵素を電極への固定する方法、センサーとしての形態、センサーの感度の向上させる方法など、多種多様なセンサー機器の最新の技術の情報を得ることが出来た。今回の学会で得られた情報や考え方を糧として、今後の自身の研究をより前進させていきたいと考えている。