2014年[ 科学教育振興助成 ] 成果報告

大学との共同研究による自然科学研究者の育成と再生可能エネルギーの研究開発を通じた応用分野の研究者の育成

実施担当者

佐々木 隆行

所属:山形県立山形西高等学校 教諭

概要

1.はじめに
 山形県立山形西高等学校では、「山西リケジョプロジェクト」と題して、次の項目を目標にさまざまな活動を展開しています。
1)理系進路選択の幅を広げる。
2)文理を問わず理科への興味関心を高め、科学技術に対する理解を深める。
3)理系分野で特異な能力を持つ生徒の能力を引き出す。
 主な実施内容は次の3つになります。
1)大学との連携
 研究室訪問や講義を受け、理系生徒の進路選択の幅の拡大と科学技術に対する理解を深める。研究設備を実際に見ることや最先端の科学に触れることを重視。
2)外部の科学講座との連携
 東北大学主催の「科学者の卵養成講座」などへの参加支援。
3)放課後実験倶楽部
 運動部も参加できるよう、部活としてではなく講座として実施。優れた研究は、外部の研究発表会や論文大会へ出品。月数回放課後あるいは長期休業時に実施。


2.放課後実験倶楽部について
 放課後実験倶楽部は自由参加型で実施ており、基礎実験講座で様々な分野の実験の基本技術と科学的考え方を学びます。その中で、自分の研究テーマを見つけた生徒は、自由研究を行っています。学校側では、設備や実験材料について可能な限り援助しています。試薬や実験材料で高価なものは、(独)科学技術振興財団(JST)の「中高生の科学部活動振興プログラム」の支援を活用したりしています。
 自由研究班は、現在、生物分野のテーマを研究している生徒が多いのが現状ですが、電気・電子・エコロジー分野の研究も展開したいと考えており、その為に「山西ライトアップ計画」を企画しました。


3.「山西ライトアップ計画」について
 「山西ライトアップ計画」の目標は、“山形西高の敷地内の照明設備を自分たちで作ってしまおう”というものです。高校生に自由に研究してもいいといっても何をやったらいいのか分からないので、わかりやすい目標を掲げることにしました。この目標に向かって、様々な分野の研究を進めるうちに、「ものつくり」に対する理解が深まったりや新しい発想が生まれればと考えています。想定される分野としては、発電装置、管理システム(ソフトウェアとハードウェア)、蓄電池、バイオ燃料などを考えています。研究が進めば、機械とソフトウェアの部分は、山形大学の工学部とバイオの部分は、山形大学の理学部と農学部に支援を仰ぐ予定です。


4.公益財団法人中谷医工計測技術振興財団からの支援費の活用について
 放課後実験クラブでは、様々な分野の研究をしており、(独)科学技術振興財団からも支援を受けていますが、主に生物分野の実験材料費と外部発表に予算を使っています。大学との連携も行っていますが、大学で研究できる時間は限られており、校内で研究する際の計測機器などの備品が不足しています。今回の助成により、「山西ライトアップ計画に関わる計測機器と培養設備を購入することができました。


5.研究の現状
 現在、バイオエタノールに関わる研究からスタートしたところですが、基本的な技術を学ぶために、植物とキノコの培養から着手しています。植物の細胞壁のセルロースを糖に分解し、アルコール発酵からエタノールを得る流れを基本に考えています。セルロースの入手は食物以外を考えており、セルロースの分解にキノコを利用しようと考えています。また、アルコール発酵から直接電力を得ようと考えているので、その際に計測機器を利用します。
 今後、発電した電力をコントロールしたり、利用したりする方向で、ソフトウェアとハードウェアの研究にも着手していく予定です。


6.研究の様子

(注:図/PDFに記載)