2014年[ 科学教育振興助成 ] 成果報告

全日本相撲ロボット全国大会上位入賞を目指して『ブラシレスモータ制御回路の製作・研究』

実施担当者

大西 浩行

所属:三重県立伊勢工業高等学校 教諭

概要

1.はじめに
 本校ロボット部の創部以来、現在まで相撲ロボットを製作し富士ソフト株式会社が主催する全日本相撲ロボット大会に出場してまいりました。この取り組みを通じて様々な、工業技術に触れ、習得することに重きを置き活動しています。
 現在、部員数は1年生7名・2年生2名・3年生6名が在籍しており、昨年度の三重県テクノドリームフェア大会の相撲ロボットラジコン型部門を1位から3位までを本校の選手の作品で占めることができました。しかし、全国大会出場をかけた東海地区予選では善戦及ばず全国大会出場は叶いませんでした。
 今年度、生徒たちと共に全日本相撲ロボット全国大会を目指した活動を計画しています。今年度の取り組みは、『ブラシレスモータの制御技術の習得』を行う計画です。この取り組みを行いたいと考えたきっかけは、生徒たちがラジコン飛行機の分野でブラシレスモータが使用されることが多くなってきていることを知り『なぜ、ブラシレスモータを使うのか?』と筆者に質問をしてきたことがきっかけです。今回用いるモータは、直流のブラシ付きモータに比べて、小型で高出力になることは理論や数式で説明することは簡単ですが、生徒の『なぜ?』の疑問を実際に研究・体験するところから解決に導けるよう、指導したいと考えています。また、それによって一見難解そうな技術が単純な原理の組み合わせで動いていることを理解させることができると考えています。


2.競技紹介
 ロボット力士は、幅20cm×奥行き20cm以内高さ自由の範囲で重量を3000g以内で製作します。ロボットはコンピュータープログラムで戦う「自立型」とプロポを操作して戦う「ラジコン型」の2つの部門があります。
 本校は、ラジコン型の製作を行っています。勝敗は、相手を押し出したロボットが勝ちで3本勝負を行い2本先取したロボットが勝者となります。


3.活動報告
 初めに、図2にあるように最初は、工具の使い方から指導を始めました。単純なようですが、工作の経験が少ない今の生徒たちには苦労することも多くありました。この後、はんだ付けやNCフライスの使用方法を指導しました。生徒たちの作業が習熟したところで図3のコントローラの配線を行いロボットに搭載しました。誤配線で滑らかに回らず生徒たちも試行錯誤しながら製作を行いました。苦労しながら制作を行い時には弱音を言う生徒もいましたが完成した時は生徒たちも達成感とものづくりの楽しさを実感したようです。
 完成したロボットで、三重県テクノドリームフェアと全日本相撲ロボット近畿大会・東海大会に出場しました。テクノドリームフェアでは、三位に入賞しました。9月に行われた全日本相撲ロボット東海大会では、選手代表として選手宣誓をさせていただきました。試合では、図4の写真のようにハッケヨイノコッタの合図で試合が行われました。残念ながら、全国大会には駒を進めることはできませんでした。


4.まとめ
 今年度、相撲ロボットやブラシレスモータのコントローラを製作しました。生徒たちは、ものづくりが大変なものだという実感とともに楽しさを学んだようです。生徒の中には「身の回りの製品を大切にしないといけない」などと話す様子が印象に残っています。
 また、コントローラの出力を調整すると磁極位置の切り替えで音が発生します。この様子を見て生徒が、「ハイブリッドカーのモータの音と同じ音がする」や「使われているモータの原理が同じだから音の原因は、コントローラの影響ではないか」と話している様子があり、身の回りにある技術が身近に感じたようです。