2016年[ 技術開発研究助成 (開発研究) ] 成果報告 : 年報第30号

アルツハイマー病早期診断のための Quenchbody の開発

研究責任者

董 金華

所属:東京工業大学 資源化学研究所 プロセスシステム工学部門 助教

研究分担者

上田 宏

所属:東京工業大学 資源化学研究所 教授

概要

1.はじめに
アルツハイマー病は、老人性認知症の中で患者が最も多い疾患で、脳内に老人斑(アミロイド斑) といわれる過剰なタンパク質が沈着することが病理学的な特徴の 1 つである。このアミロイド斑の主成分が、アミロイド β ペプチド(Aβ)であることが明らかとなり、Aβ の過剰な蓄積がアルツハイマー病の発症の原因と考えられるようになった(1)。最も一般的な Aβ 単量体は 40 アミノ酸残基からなるAβ40及び42 アミノ酸残基からなるAβ42 である。とりわけAβ40 は存在比が高いが、立体構造の違いから Aβ42 のほうが凝集しやすいと言われ、特にその凝集体に高い神経毒性が疑われている。近年の報告でこのペプチドの疎水的凝集によって形成される一部の可溶性オリゴマーが高い神経毒性を持ち、アルツハイマー病発症における鍵であることが分かってきた。可溶性オリゴマーの一種である ADDL (Amyloid-beta Derived Diffusible Ligands; アミロイド β 由来拡散性リガンド)はその中の一種である(2)。この毒性が高いオリゴマー種を迅速に検出する測定法を開発することにより、アルツハイマー病の発症を早期段階で診断し重篤な病態への進行を防ぐ方法が、今最も求められている。
アルツハイマー病の体外診断薬としては、Aβに対する特異抗体を用いた ELISA 法を原理としたものが広く用いられている。ELISA 法による脳脊髄液の診断では、病気の進行に伴い、Aβ42 が減少することがほぼ確立されている。また、生体組織の場合、組織を洗浄して得られる洗浄液中のAβ を計測することが多い。しかし、Aβ の濃度が低い場合、正確に測定ができない問題もあった。そのため、より高感度な計測方法が求められている。また、ELISA には洗浄操作が多く、時間がかかる上に、現在病院などで用いられる自動化測定システムも複雑で高価になりがちな問題があっ た。
本研究は、簡便迅速高感度な ADDL 測定法の開発を目的とする。ADDL は血液中にも存在し、それを迅速高感度に測定できる方法を確立すれば、早期診断を実現できると同時に患者の負担を低減することも可能と期待される。

2.Quenchbody 免疫測定法について
当グループは、一貫して組換え抗体を用いた免疫測定法について研究してきた。なかでも「抗体の可変領域(抗原結合部位, Fv)は抗原がないと不安定だが、抗原が結合すると安定化される」という原理に基づく Open Sandwich(OS)免疫測定法の研究に力を入れてきた(3)。例えば OS 原理に基づく骨代謝疾患マーカーBGP 測定系、甲状腺ホルモン T4 の測定系など多数の高感度測定系が開発されてきた(4, 5)。しかし最近、抗体断片に蛍光色素を修飾したホモジニアス OS 法の検討から、新たに Quenchbody (Q-body) 免疫測定法(図1)の原理が見いだされた(6)。Q-body 法においては、蛍光色素を、色素が抗原不在時に抗体内部に埋め込まれるような位置に修飾し、抗体内の芳香族アミノ酸(トリプトファン)の性質を利用し、消光させる。ここに抗原と結合すると、抗体構造の安定化により内部にある蛍光色素が放出されて蛍光を発し、結果、抗原が検出される(7)。Q-body 技術の特徴として 1) 洗浄工程が不要で、少量のサンプルと混合して蛍光強度を測定するだけで測定が完了する 2)抗体中に存在する保存性の高いトリプトファン残基を利用するため、多くの抗体が利用できる 3) 特に後述するダブルラベル法を用いる事で高分子タンパク質の検出にも力を発揮する、があげられる。この高い汎用性から、基礎研究における研究ツールとして、さらに広く臨床診断及び環境分析等に応用が可能と期待される。
すでに先行研究として、当グループで Aβ オリゴマー特異抗体 h12A11 を合成し、 その結合特異性を確認している。本研究では h12A11 抗体 Fab 断片の発現ベクターを構築し、タンパク質の発現、精製、さらに蛍光標識によって、Aβ オリゴマーの Q-body 免疫測定系を構築し、その性能を評価することとした。

図1 Quenchbody の検出原理
(注:図/PDFに記載)

3.実験方法
3.1 抗体 Fab 断片発現ベクターの構築
当初の Q-body は、無細胞蛋白質発現系を用いた部位特異的色素修飾法により調製された。しか し、無細胞蛋白質翻訳系は一般に発現量が少なく、コストが高いという問題点がある。その後我々は、大腸菌発現系を用いて抗体の抗原結合断片(Antigen-binding fragment; Fab)を調製し、これを用 いて安価に無細胞系由来とほぼ同等の性能をも つ Q-body (Ultra Q-body, UQ-body)を構築する方法を開発した(8)。今回は、この方法で Aβ オリゴマーに対する UQ-body を作製することにした。
具体的には、最初に図2に示す三種類の Fab 発

図2 構築した抗体 Fab 断片発現ベクターと UQ-body の模式図
(注:図/PDFに記載)

現ベクターを構築した。図2,AB は Fab の重鎖可変領域(VH)の N 末端にシステイン残基を含むCys-tag(MAQIEVNCSN)を導入したものであり、後者は Cys-tag と VH の間に GS リンカー(GGGSGGT)が入るように設計した。図2C は VH と抗体の軽鎖(L 鎖)の両方に GS リンカーつきのCys-tag を有するベクターを示す。Cys-tag のシステインと maleimide との反応性を利用し、還元処理後にmaleimide 基を持つ色素で修飾し、UQ-body を調製することが可能となる。

3.2 pUQ1H-h12A11 の構築
h12A11 抗体遺伝子特異的プライマー
(VHAgeI_back と JHXho_for)及び市販ポリメラーゼ KOD-Plus-Neo(TOYOBO)を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応法( Polymerase Chain Reaction;
PCR)によって抗体重鎖可変領域遺伝子を増幅し、DNA 精製用試薬を用いて、精製を行った。増幅された抗体遺伝子 VH 及び以前当研究室で構築したヒトオステオカルシン抗体KTM219 の Fab 断片発現ベクターpUQ1H-KTM219 を制限酵素 AgeI とXhoI で消化した後、市販 DNA 精製試薬による精製を行った。制限酵素処理した抗体 VH 遺伝子断片とプラスミドそれぞれ適切な量に、DNA リガーゼを加えて 16℃で 1 時間反応させ、市販の大腸菌コンピテントセルと混合して形質転換した。これを 50 μg/mL のアンピシリンを含む LB (LBA)アガープレートにまき、37℃で一晩培養して、出来たコロニーが組み換え菌かどうかをプライマーT7Pro 及び T7Term を用いたコロニーPCR により確認を行った。その後それらを培養し、プラスミド抽出キットを用いて、プラスミドを調製した。塩基配列解析により VH 遺伝子の挿入を確認した後、プライマーVkRV_back と JkHind_for にて増幅したVL遺伝子を制限酵素 EcoRV とHindIII にて処理し、同様の手順により既に VH 遺伝子を組み込んだプラスミドにクローニングし、発現ベクターpUQ1H-h12A11 を構築した。

3.3 pUQ1HGS-h12A11 及び pUQ2GS-h12A11の構築
ベクターpUQ1HGS-h12A11 は以前当研究室で構築したベクターpUQ1HGS-HODE (未報告)を
AgeI/XhoI 及び EcoRV/HindIII にて h12A11 の VH 及び VL 遺伝子を組込み、構築した。ベクターpUQ2GS-h12A11 は pUQ2GS-HODE(未報告)をベースにして構築した。ただし、VL の増幅はVkSpe_back/JkHind_for を用いて行い、制限酵素はSpeI と HindIII を用いた。

3.4 抗体 Fab 断片の発現及び精製
構築した三種類のベクターを酸化的細胞質を持ち抗体発現に適した大腸菌 SHuffle T7 express lysY (NEB Japan)に形質転換した。その後、LBA プレートにまき、30℃で一晩培養し、形成したコロニーを液体 LBA 培地に接種して、OD600 が 0.6 になるまで 30℃で培養した後、イソプロピル β チオガラクトピラノシドを終濃度が 0.4 mM となる

表 1. 本研究で用いたプライマー
(注:表/PDFに記載)

よう添加して発現を誘導、16℃で 16 時間培養して細胞質内に Fab 断片を発現させた。
培養した菌体を遠心機によって集め、超音波細胞破砕装置にて破砕し、菌体内画分を調製した。その後、Fd (H)鎖に付加した His タグを利用して、アフィニティカラムで Fab 断片を精製した。精製した Fab 断片を SDS(Sodium dodecyl sulfate)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)にて分離を行い、精製 Fab 断片の分子量、収量、純度等を確認した。
調製したFab 断片の抗原結合能はELISA 法によって確認した。ストレプトアビジン(4 μg/mL )をELISA プレートに一晩固定化した後にマイクロプレートウオッシャーを用いて 0.05% Tween20 を含む PBS (PBST)で洗浄を行い、ウェルにビオチン化した AβN末ペプチド (bio-DAE10, DAEFRHDSGYSGENRSDQK(biotin)GEGGC; 2 μg/mL)を添加し、室温で 30 分反応させた。未結合のbio-DAE10 溶液を捨て、ImmunoBlock (DS ファーマバイオメディカル; 20% in PBS)にてブロッキングした後、精製 Fab 断片(1 μg/mL)を加えた。室温1時間反応させた後に洗浄を行い、HRP 修飾した抗 His タグ抗体を加えて、再び反応させた後、基質 3,3',5,5'- テ ト ラメチル ベンジジン(3,3',5,5'-Tetramethylbenzidine; TMBZ)で発色させ、1 M H2SO4を加えて反応を停止させた後450 nmの吸光度を測定した。

3.5 UQ-body の調製
蛍光色素による Fab の標識は以下の手順で行った。調製した Fab 断片の N 末側に導入したタグ中のシステイン残基を選択的に還元するため、TCEP ゲ ル (Immobilized Tris (2-carboxyethyl) phosphinehydrochloride Disulfide Reducing Gel , Pierce 社)を使用し、60 分間反応させた。その後、遠心して上清を回収した。
回 収 し た 上 清 に 適 量 の 蛍 光 色 素ATTO520-maleimide を加え、25℃で 2 時間遮光静置し、蛍光色素修飾を行った。その後限外濾過フィルター等を用いて遊離の蛍光色素を注意深く除去し、蛍光色素修飾 Fab を調製して、UQ-body サンプルとした。

3.6 ADDL の調製
42 (ペプチド研究所)を 5 mM となるようにジメチルスルホキシドに溶解して、pre-ADDL 溶液とした。Pre-ADDL 溶液を終濃度が 100 μM になるように Ham's F-12 培地で希釈して、4℃で 24 時間インキュベートし、ADDL サンプルとした。

3.7 UQ-body の評価
SDS-PAGE によって合成した UQ-body の純度と遊離色素の除去の程度を確認した。次に、Bradford 法により UQ-body の濃度を確認した。また UQ-body の抗原結合能は ELISA 法によって評価した。
蛍光測定は、UQ-body をPBST 溶液で希釈して、終濃度が 4.6, 13.7, 41.0, 123, 370, 1111, 3333, 10000 nM になるよう順次 Aβ モノマー或はADDL オリゴマーを加え、数分インキュベートした後、各濃度での蛍光強度を測定した。その後、同量の PBST を加えたサンプルの蛍光強度を用いて補正を行い、検量線とした。

4.結果
4.1 UQ-body の合成及び抗原結合能
合成した UQ-body を SDS-PAGE によって分離し、蛍光観察装置の下で蛍光観察した後、Quick-CBB(和光純薬)にて Fab 断片を染色した。図3A に CBB 染色結果(左)と断片の蛍光観察の結果(右)を示す。Lane 1、lane 2、及びlane 3 はそれぞれ1Hh12A11-UQ-ATTO520、1HGSh12A11-UQ-ATTO520、及び 2GSh12A11-UQ-ATTO520 を示す。Quick-CBB 染色の結果よりそれぞれの UQ-body がほぼ十分な純度に精製されたことが確認された。また蛍光観察によりほぼ Fab 断片の蛍光のみが観察され、抗体断片の蛍光ラベルが確認できた。なお1Hh12A11-UQ-ATTO520 及び1HGSh12A11-UQ-ATTO520においてバンドが一本しか見えないのは、H 鎖 L 鎖が同じ移動度で重なったことによると考えられる。
また UQ-body の抗原結合能は ELISA によって確認された。図3B はその結果を示す。三種のUQ-body と も 抗 原 に 結 合 し た が 、1Hh12A11-UQ-ATTO520 が若干強いシグナルを示し、H鎖修飾がより抗原結合に影響しないことが示唆された。

図3 調製したUQ-body の SDS-PAGE(A)及びそれらの抗原結合能(B)
(注:図/PDFに記載)

図4 変性及び抗原による UQ-body のクエンチ解除
(注:図/PDFに記載)

(A)、(B)、(C) は 1Hh12A11-UQ-ATTO520 、 1HGSh12A11-UQ-ATTO520 及び UQ-body 2GSh12A11-UQ-ATTO520 の GdnHCl/DTT によるクエンチ解除の結果であり、(D)、(E)、(F)は各UQ-body の抗原によるクエンチ解除の結果を示す。

4.2 変性及び抗原によるクエンチ解除
抗体に修飾された色素がどの程度抗体内部のアミノ酸によりクエンチされたかを調べるため、UQ-body を 7M 塩酸グアニジン及び 100 mM DTT を含む変性溶液で完全変性させ、その蛍光スペクトルを測定した。図4A、4B 及び4C はそれぞれシングルラベル UQ-body 1Hh12A11-UQ-ATTO520, 1HGSh12A11-UQ-ATTO520 、及びダブルラベルUQ-body 2GSh12A11-UQ-ATTO520 の蛍光スペクトル 変化を示 す。 1Hh12A11-UQ-ATTO520 、1HGSh12A11-UQ-ATTO520 は、それぞれ 1.32 倍、1.30 倍の蛍光強度上昇が見られたのに対し、ダブルラベル UQ-body 2GSh12A11-UQ-ATTO520 では最大蛍光波長で 6.24 倍の蛍光強度上昇が見られた。
一方、抗原との結合によるクエンチ解除はbio-DAE10 (10 μM)の添加によって確認した。その結果を図4D,4E 及び4F に示す。シングルラベル抗体では抗原添加による蛍光変化が殆ど見られなかったのに対し、ダブルラベル UQ-body では1.79 倍の蛍光強度の増加が見られた。

4.3 UQ-body2GSh12A11-UQ-ATTO520 によるAβ モノマー及び ADDL の検出
調製した三種類の UQ-body の中、抗原応答性の見られたダブルラベル UQ-body 、2GSh12A11-UQ-ATTO520 を用いて、Aβ モノマー及び ADDL の検出を試みた。図5A は Aβ モノマーを添加した時の UQ-body の蛍光スペクトルを示す。Aβモノマーの濃度を徐々に増やすと、UQ-body の蛍光強度も徐々に増加することが分かった。図5B は ADDL を加えた時の結果である。一見するとモノマー添加と同じようだがより高い応答を示す結果が得られた。図5C はモノマーならびに ADDL 添加時のスペクトル変化に基づき作成した検量線を示す。Aβ モノマー及びADDL の検出感度は 200 nM と 300 nM であり、得
られた EC50 は 1.0 μM と 1.5 μM であった。以上より本 UQ-body はモノマーより ADDL をより高感度に検出できることが判明した。

図 5 UQ-body による Aβモノマー及び ADDL の検出(A)はAβモノマー添加時の蛍光スペクトル、(B)はADDL 添加時の蛍光スペクトルを示す。(C)はこれらより作成した Aβモノマー及び ADDL の検量線を示す。
(注:図/PDFに記載)

4.4 Aβ オリゴマーのイメージング
バイオイメージングは生化学の研究及び診断における重要な手法である。しかし従来の免疫染色法においては観察前の洗浄が不可欠であり、操作が煩雑であるのみならず、手技の違いによる結果の相違の問題があった。そこで我々は、原理的に洗浄が不要な UQ-body によるバイオイメーニングを試みた。
PBS で一晩インキュベートした Aβペプチド(終濃度 250 μM)と UQ-body を混合して、蛍光顕微鏡 IX71(オリンパス)で、励起波長 470±20 nm 蛍光波長 520±20 nm のフィルターを用いて観察した。図6はその結果を示す。Aβオリゴマー及びUQ-body だけの場合、蛍光は観察されなかったが、両者 の混合物 において のみ粒子状の

図6 Aβ オリゴマーのイメージング
(注:図/PDFに記載)

蛍光像が得られた。またその際バックグラウンド蛍光は殆ど見られなかったことから、洗浄を行わなくても UQ-body が Aβオリゴマーに結合し、蛍光を発することで ADDL の検出に成功したものと考えられる。

5.まとめ
Quenchbody 法は当グループにより世界で初めて編み出された免疫測定技術である。従来法、例 えばサンドイッチ ELISA 法では、抗原の固定化、洗浄など多くの工程があり、測定に数時間から 1日以上の時間がかかる。これに対し Quenchbody 法では、複数の反応洗浄工程を必要としないため、用いる抗体によって数秒から数分間で結果を得 ることが可能である。また、本法は抗体内部のト リプトファンによる蛍光消光を利用しているが、これらのトリプトファン残基は殆どの抗体に保 存されている。
本研究では、三種類の UQ-body を作製し検討した。シングルラベル UQ-body では、VH の N 末端領域に ATTO520 を修飾したもの、さらにATTO520 と抗体との距離を増やすために GS リンカーを付加したものを作製した。しかし、変性剤によるクエンチ解除実験では、GS リンカーのない UQ-body において蛍光強度の変化が若干大きいものの、両方とも抗原によるクエンチ解除は見られなかった。一方ダブルラベル UQ-body では、変性によるクエンチ解除も大きい上にAβの検出にも成功した。ダブルラベル UQ-body は抗体内部のトリプトファンの作用に加え、色素分子間で H ダイマーと呼ばれる複合体が形成される(8, 9)。それによって、クエンチ効果が増強され、その結果として抗原結合によるクエンチ解除も増大したのであろう。今回得られた結果は、従来我々が作製してきた高分子タンパク質検出用 UQ-body のものに近い。さらに今後リンカー長を調節し、応答を最適化できる可能性はあるが、これらの知見は今後のアミロイド検出用 UQ-body の設計・改良に役立つと思われる。
本研究では、UQ-body による Aβモノマー及びADDL の検出のほか、Aβオリゴマーのイメージングによる検出にも成功した。検出感度については今後さらなる検討が必要ではあるが、従来の免疫染色に比べて洗浄作業が必要ない上、検出時間も短いメリットがあることから、今後の研究及び診断における応用が期待される。
今までのアルツハイマー病診断は脳脊髄液を用いることが多く、患者に大きな負担となってきた。本研究をさらに発展させ血液中の ADDL オリゴマー測定法として利用できれば、臨床診断において患者の負担をこれまでよりはるかに低減することが出来ると期待される。